サッカーのニュースにアンテナを張っている人にとって衝撃的なニュースが流れたのが2021年5月24日です。
この日にオフサイドのルールが変更され、しかも7月にこの新ルールが改正されて施行されると言われております。
今回はこのルール改定によって本当にゴール数は増えるのかを徹底的に検証して参ります。
今までの代表的なルール改定の歴史までご紹介いたします。
オフサイドのルールがどのように変わる?
オフサイドのルール変更がどのようになるのかを知る前に、今現在のルールがどうなっているのかを確認しましょう。
現行ルールはこちらの『オフサイドって何?小学生でもわかるように解説してみた!!』という動画を見るととてもわかりやすく解説してくれています。
今回このルールが変わるのはオフサイドラインを元にした判定基準の部分で、こちらの『サッカーのオフサイドルール変更で得点は増える?全試合VARの導入必須|【SPAIA】スパイア(https://spaia.jp/column/soccer/13492)』を見ると、『オフサイドラインより前方に身体の一部があっても、少しでも身体の一部が残っていればオフサイドではない』とのことです。
今まではオフサイドに関与したと判断される人がいたとすると、身体の一部が出ていたらアウトだったのです。
しかし、新ルールになることで身体の一部さえオフサイドラインに残っていればOKとなるのです。
具体的な状況を想定すると、後ろ足のつま先がオフサイドラインに残っていればOKになるということです。
今までだと1mぐらい飛び出ていて、オフサイド判定を食らっていたのがOKになってしまうので、ディフェンダーは100%間に合わないという状況が増加することでしょう。
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なぜルール改定を行った?
このようにオフサイドのルール改定を行った背景には、少しでも点数が入る試合を増やしてサッカーをよりエンタメ化したいというFIFAの希望があります。
サッカーは野球やアメフトやバスケットといった球技と比べると、得点が入ることが少ないスポーツであり、試合によっては0-0で終わることもよくあります。
しかし、あまりにも点が入らない試合はつまらないという意見が多くなり、こういった試合が増えることでサッカー人気がのびない、または低下する事を危惧したのでしょう。
実際に他のスポーツではよりスピーディーかつ点が入る派手な試合にすることで、エンタメ化に成功し、観客動員数を増やしてより人気になったスポーツは多数存在しているのです。
具体的には先ほど紹介した記事にも記載があったように、バレーボールや卓球のルール変更による成功があげられるでしょう。
同じように、派手な試合を増やしてエンタメ化することで、新型コロナウイルスによって沈んでしまった興行的な意味でのサッカー人気をなんとかしたいという意味合いもあると思います。
本当にオフサイドのルールが変わることで得点は増えるの?
それでは今回の記事における本題に入っていきましょう。
結論を記載すると『得点が増加する試合はある程度増えるだろうが、爆発的な得点増加にはそこまで繋がらない』になると思われます。
未来の話なので推測も多分に含んでいますが、20年以上サッカーを見てきた筆者からするとそう簡単に得点数が増加するとは思えないのです。
このように考えに至った背景を具体的に解説いたします。
得点が増えないと思った理由その1・過去にオフサイドのルールを変えてもそこまで増えなかったから
現行のオフサイドを含めたサッカーのルールが誕生したのは1925年ですが、その後もルール改定は頻繁に行われています。
直近で最も大きなオフサイドのルール変更が行われたのは2005年です。
2005年のルール改定はこちらの『2010-04-23(https://korompa.hatenadiary.org/entries/2010/04/23)』というサイトに書いてあるように、『オフサイドの位置にいる選手は、他のオンサイドの位置にいるチームメイトがボールをプレーする機会を持たない場合、主審の判断により、ボールをプレーまたは接触する前にオフサイドと見なされる』となったのです。
もっとわかりやすく解説すると、2005年のルール改定前はオフサイドエリアにいた場合は、ほとんどのケースが問答無用でオフサイドという扱いだったのです。
しかし、このルール改定によって関与していないと判断されたらオフサイドにならなくなったのです。
このルール改定によって得点が増えると予想していた人も多かったのですが、改定前と改定後のFIFAワールドカップの1試合の平均得点数を見てもそこまで増加していないのです。
1990年と1994年と1998年と2002年のルール改定前のワールドカップ1試合の平均得点数は2.21点・2.71点・2.67点・2.52点だったのが、ルール改定後の2006年と2010年と2014年と2018年のワールドカップでは2.3点・2.27点・2.67点・2.64点となっているのです。
こうやって比較するとそこまで増加していないのがわかっています。
得点が増えないと思った理由その2・失点を減らすために引くチームが絶対増える
サッカーにおける最大の目玉はゴールではありますが、基本的には失点しなければ勝てるというわかりやすい考え方があるのです。
また、多くのサッカー経験者や指導者の解説で言われていることなのですが、攻撃パターンを構築して得点を奪えるようにするよりも、守備陣形を構築して失点を抑える方が簡単という考え方があります。
そのため、国際試合でもディフェンスの着手から始まり、できるだけ失点しないように
するためにはどのように立ち回るのかを徹底することが当たり前となっているのです。
今回のルール改定によって今までの戦い方を継続すると100%の確率で失点が増えることが予想されていますが、この失点を防ぐためにどうしたらいいのかをあらゆる監督やコーチが考えて直ぐに対応することでしょう。
この新ルール向けのディフェンス対策の1つが、『オフサイドトラップはほとんど無理になるので、ディフェンスラインをひたすら下げて、キーパーとディフェンダーの間をできるだけ狭くし、ゴール前をひたすら厚くして引く』となるでしょう。
オフサイドをとることがほとんど不可能になるなら、最初から引いて守る形にしてしまえばいいという結論になってしまうということです。
リヴァプールやマンチェスターシティのように、前からボールを奪うチームはひたすらオフサイドラインを高めに守るため、今回のルール改定による失点は激増すると思います。
しかし、いわゆるどん引きするチームは影響が少ないので、引くチームが増えることが予想されるのです。
得点が増えないと思った理由その3・VAR判定が重要になり審判の負担が急増するから
今回のルール改定はおそらく主要リーグは必ず導入するルールになると思います。
ただし、よりVAR(ビデオアシスタントレフェリー)の重要性が増してしまいますので、あらゆるスタジアムにVARが設置されているようなリーグじゃないと、公平じゃないという問題が発生してしまうでしょう。
そのため、新ルールを導入しても、対応できないリーグやスタジアムが出てきてしまうと思います。
こうなると審判の負担も急増してしまうので、曖昧な判定が急増する可能性があり物議を醸す試合が増える恐れがあるのです。
こうなってしまうとたとえ得点が増えたとしても、元に戻した方がいいという議論が出てしまいます。
ルール改定をしても一時的に元に戻されて、結果的に得点が伸びない状態になってしまう可能性もあるのではないでしょうか。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回はオフサイドのルール変更によって得点が増えるかどうかをいうお話をさせていただきました。
結論として、オフサイドのルール変更が発生してもそこまで得点数がのびないというお話でした。
絶対に失点を減らすために引くチームが増えますので、なかなか得点が入らないという試合が増えると思います。
むしろ引くチームが増えることで退屈な試合が増えてしまうリスクも抱えていますので、今回のルール変更で試合がどうなるのかがかなりの見物となるでしょう。
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