自然界において猛毒を持つ生物は多数存在します。
勿論自分の身を守るためというのは分かりますが、ではなぜ一部の生物のみが猛毒を持つようになったのでしょうか?
そこで今回はそれらの危険な生物についてご紹介いたします。
こういった危険生物たちは日本にいるのかどうか、そして噛まれてしまったり刺されてしまった場合の対処方も見ていきましょう。
今回はお子様も見やすい様に、魚類と貝類以外は過激な写真を使用せず、ソフトなイラストでご紹介いたします。
猛毒を持つ生物の種類(陸上生物)
毒性を持つ生物は色々います。
ココではその中でも陸上生物に限定して紹介致します。
簡単に思いつくだけでも蛇・蜘蛛・サソリ・蜂など色々と
コブラなどの蛇類
蛇は南部アフリカだけでも100種類以上生息しており、その中で毒を持っているのは30種類以上
と言われております。
さらに、猛毒や致死性の毒を持っている蛇は、15種類はいると言われているのです。
その中で特に有名なのが『コブラ』で、コブラは神経系の機能を停止させてしまう危険な毒をもっています。
他にも、血液を破壊する毒を有する非常に危険な『アダー』という蛇や、コブラ科マンバ属に分類される非常に危険な毒を持っている『ブラックマンバ』という蛇もいます。
このように危険な毒を持っている蛇は非常に多く、その毒の種類や効き目も異なっているのでなかなかに面白い種族なのです。
コブラの毒は毒のカテゴリー的に『神経毒』に該当し、噛まれると麻痺やしびれを引き起こします。
毒が回ると呼吸停止や心臓停止に繋がることもあるのです。
ただし、コブラにも色々と種類が有り、中には細胞毒や出血毒を持つ特殊なコブラもいます。
コブラの生息域はかなり広く、アフリカ・オーストラリア・北アメリカ・南アメリカ・南ユーラシア・東南アジア・台湾と色んな場所に生息しています。
一部のコブラは日本の南西諸島にもいるのです。
攻撃性についても種類ごとにわかれており、有名な『キングコブラ』の雌は抱卵時だと巣に近づくものすべてを敵と見做して攻撃してきます。
ちなみに弱点は、神経毒に耐性がある生き物(クジャクなど)や変温動物故に寒い地域では、熱を奪われてまともに動けなくなることでしょう。
そのため、1年中暖かい地域に蛇は多く生息しているのです。
毒蜘蛛タランチュラなどの蜘蛛類
蜘蛛は農家の方にとって天敵となる害虫を食べてくれるため、益虫としても扱われる事がありますが実はものすごい種類がある生き物で、その中には人に対しても効果を発揮してしまう毒を持っている蜘蛛もいます。
蜘蛛の種類は世界を含めてお話しすると約4万種類いると言われていますが、その中で毒をもっているのは100種類程度です。
ただし、蜘蛛は元々エサである節足動物に効果のある毒を有することが多いため、脊椎動物である人類にはそもそも効果がないケースもあります。
こういった毒を持っているけど、人間には効果がない蜘蛛は毒蜘蛛のカテゴリーから外れているのです。
その中でも人間に効果がある毒を持っている蜘蛛は、『ゴケグモ』『ジョウゴグモ』『カバキコマチグモ』『タランチュラ』『ジョロウグモ』『オニグモ』『イトグモ』『コモリグモ』など名前を知られているものも多く、それらは『神経毒』か『組織毒』を持っています。
日本で生息している有毒な蜘蛛は、黒くて大きな顎を持っている『カバキコマチグモ』が神経毒を持っているため知っている人も多いと思います。
この蜘蛛は沖縄を覗く日本善行の田んぼや林にいるので要注意です。
次は有名なタランチュラについて見ていきましょう。
タランチュラはヨーロッパの様々な伝説に登場するとっても有名な蜘蛛で、熱帯アジアや北アメリカ南西部から南アメリカなどの温暖な地域に分布しています。
タランチュラはかなり大きい蜘蛛なので、小型の脊椎動物でも食べてしまい、バナナにタランチュラの卵や仔蜘蛛がくっついている状態で輸入されることで、日本国内でも過去に何度か騒ぎになったという情報も残っています。
サソリ
サソリも有名など毒を持つ生物ですが、サソリの種類は1,700を超えておりその中でも人間にとって命に関わるような毒を持っているのは25種類程度とごく一部です。
基本的には熱帯地方を中心とする暖かい地域に多く生息していますが、一部のサソリは湿潤な気候や寒さが厳しい地域に適応しているため生息域は非常に広いです。
どうしてあのような生態や形になったのか色々と研究されていますが、進化の形をたどるお話になると一部の見解が21世紀になって否定されるなど、まだまだわかっていないことがあるため定かではありません。
とりあえずクモガタ類を祖先形質にしている結果、進化してあのようになったと考えられているようです。
ちなみに、どんな気候にも適応して生息しているサソリなのですが、日本に存在するサソリは原則として2種類です。
それは『ヤエヤマサソリ』と『マダラサソリ』の2種類となり、2種類とも知名度はかなり低いです。
『ヤエヤマサソリ』は大きさが3cm強程度しかないかなり小型なサソリで、沖縄県八重山諸島で生息しています。
世界で見てみると沖縄県以外に、東南アジアやオセアニアと生息域は広いです。
ただし毒性は弱いとされているため、今回のカテゴリーからは対象外となるでしょう。
『マダラサソリ』は、大きさが6cm程度と先ほど紹介した『ヤエヤマサソリ』よりは大きく、こちらのサソリは日本の沖縄の八重山諸島や小笠原諸島に生息しています。
こちらも毒はもっていますが、そこまで強力ではなくミツバチ程度の毒と言われています。
蜂(ハチ)類
そのほかの蜘蛛やサソリや蛇以外でも猛毒を持っている生物や、人間を死に至らしめる陸上生物は色々といます。
その中でも有名なのは蜂でしょう。
蜂にはアレルゲンやヒスタミンを含んでいる蜂毒が存在しており、これらを刺されて注入されることで重症のアナフィラキシーを引き起こし死んでしまう事例が日本国内でもあるのです。
このアナフィラキシーは人を刺す可能性がある蜂全般にあてはまり、日本国内では『スズメバチ』以外だと『ミツバチ』や『アシナガバチ』が該当します。
海外で有名な蜂も色々といますが、タランチュラの天敵となっている『オオベッコウバチ』は激痛に襲われるような毒を使うため色んな意味で有名です。
毛虫類
次は毛虫の紹介です。
毛虫の中には身体の表面にある毛に毒性を持っている生物が存在します。
身近にある有毒な毛虫は『チャドクガ』や『イラガ』などが該当するでしょう。
チャドクガはお茶や椿などツバキ科の植物を好み、この毒に触れると強い痒みと皮膚炎を引き起こします。
イラガは楓や梅など多くの樹木に存在しており、この幼虫の棘には触れると激しい痛みを引き起こす毒が含まれています。
日本には生息していませんが、とても危険な毒を持っている毛虫として有名なのが『ロノミー』です。
このロノミーが毛虫の時は血液の凝固を引き起こす非常に危険な毒を有しており、生息域はロシア頭部や南アメリカとなっています。
蟻(アリ)類
次に取り上げるのは蟻です。
蟻にも様々な種類がありますが、中には危険な外来アリとして取り上げられるような危険な蟻もいます。
それが近年話題になった『ヒアリ』です。
ヒアリは世界の侵略的外来種、ワースト100選定種に該当している害虫であり、南米大陸原産です。
今は南米だけでなくアメリカにも侵入しており、中国やオーストラリアにも侵入しています。
日本では2017年に6都府県で発見され騒ぎになりましたが、原因は貨物船に積み込まれたコンテナでした。
それ以降は報道があまりされなくなりましたが、2019年10月17日に国立環境研究所が東京港青海ふ頭で定着したと発表したのでちょっと話題になりました。
このヒアリはアルカロイド系の毒を持っており、痛みや痒みを引き起こします。
死亡例は少ないのですが、アナフィラキシーを引き起こしてしまう可能性があり死亡する確率がある危険な蟻なのです。
死亡例がある蟻なので殺人アリという呼ばれ方もしています。
その他の有毒生物
それ以外にも色々と有毒生物や危険生物はいます。
たとえば『キイロサシガメ』や『オオトビサシガメ』などの種類があるサシガメは農家の方々には害虫を食う益虫として扱われていますが、毒を持っているため刺されると激しい痛みを引き起こします。
また、海外にいるサシガメは吸血性の種が存在しており、感染症を媒介するものいるため、非常に危険です。
シャーガス病という病気を引き起こすサシガメも存在しており、この病気に感染すると心臓の障害や肝臓の障害を引き起こすとされています。
他にも毒を持った地上の生物は大量に存在しており、ちょっと紹介するだけでも『マメハンミョウ』『ブヨ』『ツチハンミョウ』『アオバアリガタハネカクシ』などたくさんいます。
ただし、死亡例があるレベルの危険な毒を持っている生物はそこまで多くはありません。
猛毒を持つ生物(魚類・貝類等)
地上の猛毒を持つ生物は本当に色々といましたが、海ではどうなのでしょうか。
海でも色んな有毒生物が見つかってしまうでしょう。
日本に生息してほしくない貝!イモ貝
イモ貝はイモガイ亜科の貝類の総称で、潮間帯から深海まで幅広く生息しています。
最大の特徴は捕食性があり、そのために神経毒の毒腺が付いている歯舌で突き刺してくることです。
この毒はかなり強力で、麻痺性も強く人が刺されると死亡するケースもあります。
500種類以上の種類があるイモ貝ですが、基本的には暖流域や熱帯域に生息しています。
日本では、房総半島以南や能登半島以南など暖流の影響が出ている地域に生息しており、千葉県や高知県そして和歌山県、そして沖縄県や鹿児島で見ることができます。
特に暖かい地域に該当する沖縄県では、100種類以上のイモ貝が生息しているようです。
天敵は強力な鋏脚を持っている甲殻類や貝類を食べられる甲殻類です。
フグ
毒を持っている海の生物として非常に有名なのがフグでしょう。
このフグが有している毒はテトロドトキシンで、この毒は2mgも有れば人の命を奪ってしまう猛毒です。
ただし、フグの種類やエサや時期によって毒の量が変わり環境によっては、毒が全くないフグに育つケースもあります。
そのため、養殖で毒を持たないフグを育てることもできるようになっています。
一般的にフグの毒は、卵巣と肝臓の毒性が強いとされていますが、皮にも毒性があるフグも存在しているので触るだけでも要注意となっています。
逆に血液は無毒なのです。
ちなみに、フグ目は温帯から熱帯の暖かい海に生息し、日本では北海道より南の海ならば見ることが可能です。
特にトラフグはよく獲れるフグで、瀬戸内海が産卵と生育の場としても有名になっています。
ヒョウモンダコ
ヒョウモンダコはいわゆるマダコ亜目 マダコ科のタコです。
日本でも馴染みがあるタコですがこのヒョウモンダコだけはある意味別格でフグが持っていることで有名な毒のテトロドトキシンを有しています。
そのためオーストラリアでは死亡例が出ている危険なタコとして有名になっており、要注意タコとなっています。
熱帯地域や亜熱帯地域に分布しており、太平洋からオーストラリアにかけて生息しています。
元々は日本の小笠原諸島や南西諸島より南の地域でしか見られないタコだったのですが、地球温暖化の影響で海が暖かくなり少しずつ生息域を広げています。
そのため2000年以降は九州地方でも捕獲されることが多くなり、大阪湾での捕獲事例も出ているようです。
目撃例が増加している背景から注意喚起及び警告も発令されました。
また、ヒョウモンダコは唾液にテトロドトキシンが含まれており身の危険を感じるとこの唾液を吐いてきたり噛みついて注入してきます。
毒蛙(カエル)
毒性を持っている蛙は、見た目も毒々しくテレビなどの媒体で紹介されることも多いため、知っている人も多いでしょう。
その中でも危険な毒を持つ蛙はかなり多く、なかでもヒキガエル科のうちAtelopus 属に該当する蛙はテトロドトキシンを有しています。
他にはヤドクガエル属の蛙も多くはアルカロイド系の神経毒を有しており、20μgで大人の人間が死亡するレベルの毒を持っているのです。
フキヤガエル属は生物が持つ毒として非常に危険な分類に入るバトラコトキシンを備えています。
この蛙も命に関わる危険な蛙なので触ることすらNGです。
ただし、これらの蛙は熱帯雨林から高山に生息することが多く日本ではあまり見られないのですが、外来種として日本で生息するようになってしまった毒蛙も存在しているようです。
その中でも有名なのが札幌市で爆発的に繁殖してしまった『アズマヒキガエル』この蛙はアルカロイド系の毒を持っていてしかも皮膚からも分泌しているので触るだけでアウトになっています。
なぜそれらの生物だけが、毒という武器を手に入れた?
様々な生物が毒を持っていますが、このように毒を持つようになっている理由は様々です。
筆者が調べた限りでは以下のカテゴリーに分類されると考えています。
サソリやイモ貝のように、相手を捕食するために毒を持っている生物が色々といることがわかりました。
また、蛙のように攻撃には使わないけど皮膚から分泌することで、外敵から身を守っている生物もいるのです。
さらには、フグのように小さな貝やヒトデなどを捕食することで、結果的に毒を有するようになってしまう生物もいます。
3番目はかなり特殊で、これらの生物は環境をこちらで整えてしまうと毒を持たなくなる生物もいるのです。
地球温暖化で将来的に日本にも生息する可能性はある?
地球温暖化の影響で、日本に生息するようになってしまう有毒生物は色々といるとされています。
特にヒョウモンダコが典型的な例で、海が暖かくなった結果生息域が大きくなり日本でも見られるようになってしまいました。
これからも温暖化が続くことで一部の外来種が生息できる環境になってしまうと、有毒な生物が日本でも我が物顔で生息するようになってしまうかもしれません。
もしこれらの猛毒生物に噛まれた場合の血清はある?
世界的に見ても有毒生物によって命を落とすケースは後を絶たないので、毒対策は現代においても研究は続いています。
例えばこちらの『18種の毒ヘビに有効、画期的な血清製造法を開発 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト』を見てもらうとわかるように、有毒な蛇の噛まれたときのための抗ヘビ毒の血清で18種のヘビの毒に対応可能な血清を発見したと話題になっています。
参考資料
これは画期的な発見で、基本的に血清は蛇の種類一匹につき一つ用意するというスタンスだったため、この血清が広がることで蛇による死亡例は減ると言われております。
他にも毒を持っている生物への対処方は各生物事にバラバラなので、対処方を個別に調べておく必要があるので注意しましょう。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回は猛毒を持つ生物について色々と紹介して参りました。
種類は非常に多く致死に至る毒を持つ生物もたくさんいるので、それらの生物が生息する地域に移動するときは要注意となってくるのです。
個人的にヒアリがどれだけ日本国内に侵入してきたのかがかなり気になっています。
続報がないので完全に駆除できていると判断できれば良いのですが、はたしてどうなのでしょうか。
コメント