日本の戦艦の名前にもつけらたことがある『時雨』という言葉ですが、この時雨がどんな意味を持っているのかをわかりやすく解説できる人は少ないと思います。
今回はこの時雨の意味について色々と解説致します。
いわゆる雨の表現の一つだとは名前からも推測できる人も多いと思いますが、そこで『どんな雨なの?』と問われると言葉に詰まってしまうのではないでしょうか。
今回はそんな方向けに、特にご紹介いたします。
時雨の意味
時雨の意味を辞書から引用しましょう。
わかりやすいのがこちらの『時雨とは – コトバンク』にある『精選版 日本国語大辞典』の解説です。
そちらの解説を引用して以下に記載します。
引用元
この中で最も用いられるのが①での意味でしょう。
つまり、秋から冬にかけての降ったりやんだりするような小雨が時雨となります。
他にも、時雨れるという表現で用いることがありますが、これはそういった空模様を表す言葉でありこれもセットで覚えておきましょう。
あとは『しぐれ』ではなく『じう』として用いると意味が多少異なるので注意してください。
『じう』の時の時雨は『ほどよいタイミングで降る雨』とのことで、『しぐれ』とは同じ意味であるという解説もありますが、ちょっと異なってくるので使う時は注意しましょう。
他にも、沖縄の泡盛で時雨があるとのことなので、こちらも覚えておくとちょっとした小ネタで使えると思います。
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天候にまつわる時雨のお話
次は天候にまつわる時雨というワードをもっと掘り下げていきます。
そもそもどういった天候や気候や天気図で発生するのでしょうか。
参考になるのがこちらの『時雨(しぐれ)とは?時雨って何? | お天気.com』でしょう。
ここの言葉を引用します。
時雨(しぐれ)とは晩秋から初冬にかけて、晴れたかと思うと曇り、曇ったかと思うと日差しが出るような時に降ってはすぐ止むような雨を呼びます。
北西の季節風に流された雲が日本海側から太平洋側へ移動する際に盆地で雨を降らせます。
京都盆地の北山時雨が有名です。また、時間帯によって『朝時雨』や『夕時雨』という表現もあります。
引用元
つまり、秋から冬になった時の気候において盆地で発生しやすい雨ということがわかります。
もっと掘り下げると北西の季節風が発生したときに対流雲が日本海上に大量発生したタイミングで、時雨が発生するとのことで、太平洋側気候と日本海岸気候がぶつかり合う場所で時雨が発生しやすいとのことです。
寒くなった秋の終盤に季節風が山にぶつかることで、冷たく湿った空気が上昇し雲を作って、その雲による雨が時雨れとなっています。
盆地がある京都府・長野県・岐阜県・福島県などで発生しやすいとのことです。
日本各地でも時雨が発生するとのことですが、厳密なことを言えば山間部や盆地にまつわる雨が時雨となりそれ以外の地域に発生した時雨っぽい雨は時雨ではなく冷たい通り雨といった声もあります。
時雨にまつわるちょっとしたお話集
次は時雨にまつわるちょっとしたお話をまとめていきます。
時雨について調べている方はこういった小話もセットで覚えておくと、色んな人達との会話で役立つ場面があるかもしれません。
万葉集などの和歌集での登場回数がとっても多い
万葉集は日本に現存する最古の和歌集であり、日本の歴史を学ぶと100%学ぶワードでもあります。
この万葉集では様々な和歌が揃っているのですが、この和歌における雨のワードとして頻繁に登場するのが時雨になります。
時雨は秋の終わりから冬の始まりに登場する小雨ですが、この和歌集そのものが秋にまつわる和歌が多くその中でも晩秋を表現するものが多数あるので時雨という言葉が何度も登場することになってきます。
その後も色んな和歌で使われ続けることで、時雨という表現が多様化して『初時雨』とか『朝時雨』のような様々な時雨を含んだ言葉が誕生して、俳諧や和歌での常連さんへとなりました。
現代の古典の授業をしている学生さんもこの時雨というワードをしばしば見ることになるでしょう。
ちなみに、俳句ではカテゴリーとして冬の季語になっています。
しぐれ煮とも関係がある
生姜の入った佃煮(つくだに)がいわゆる皆さんもよく知る『しぐれ煮』ですが、このしぐれ煮も実は時雨と関係しています。
そもそも、このしぐれ煮はハマグリを使った佃煮であり、三重県桑名市の名産品であるハマグリを使っていたとのことです。
このしぐれ煮はハマグリを使っていた始まりの頃は、『時雨煮』や『時雨蛤』と呼んでいたのですが、いつしか生姜を使った佃煮全般を指す用語になり表現の仕方もしぐれ煮に変化しました。
○○一時時雨について
天気予報で秋の終わり頃にたまに発生するものに『くもり一時雨』というものがあります。
これもいわゆる時雨によるものなのですが、この一時がどれくらいなのかわからない人も多いでしょう。
結論を記載すると一時とは『予報期間の1/4未満』であり、現象が連続的に発生するときに使うワードとなっています。
いわゆる通り雨や時雨がぴったりな予報といえるでしょう。
ちなみに『くもり時々雨』という表現になると、連続的ではなく断続的に発生してしかも発言期間の合計時間が予報期間の1/2未満とのことなので、一時と比べると意味が異なってくることが見てわかります。
時雨を表現する方言がある
時雨は京都・長野県・岐阜県・福島県などの盆地でよく発生する特殊な天気ですが、似たような通り雨はあちこちで発生していました。
こういった通り雨や時雨は地域によって特殊な方言で表現しているとのことです。
たとえば、宮城県ではこういった雨を『運び雨』と表現しており、兵庫県では『しまけ』、島根県では『そばえ』といった呼び方がされているようです。
また、関東地方では時雨といった表現をせずに、全部『通り雨』と呼ぶといった情報もありますし、時雨という言葉に別の意味を持たせている地域もあるとのことです。
このように地域による違いがかなりある言葉ですので、掘り下げれば掘り下げるほど面白い情報が見つかっていくワードでもあります。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回は時雨について色々と調べてきました。
時雨をここまで掘り下げて見ると色々と知らない新情報がたくさん見つかったと思います。
筆者的にも知らない情報だらけだったので、びっくりしながら色々とまとめを行っていったのですが、細かい地域の違いなどはもっと掘り下げることも可能なので本気で調べることになると、さらに見つかるモノも多いのでしょう。
今回はここまでとして次回は、他にも気になるワードがあれば掘り下げて生きたいと思います。
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