新一万円札として取り上げられ、大河ドラマの主役にもなる事で非常に有名になった渋沢栄一ですが、こういった情報を特に追いかけない人にとっては、どのような人物なのかもまだよくわからない人も多いでしょう。
そこで、今回は新札を替える理由も解説しつつ、渋沢栄一とはどんな人物だったのか、前回のお札の一新からどれだけの期間があり、日本ではどの程度のサイクルで変わっていっているのかも紹介致します。
新一万円札について
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新1万円札などの新札は、2024年上期に発行することを財務省はすでに発表しています。
新500円硬貨も2021年上期を予定していましたが、ずれ込んで11月から発行するとのことです。
新1万円札は福沢諭吉から渋沢栄一に、5000円札は樋口一葉から津田梅子に変わり、1000円札は野口英世から北里柴三郎に変わります。
このお札変更には多くの特徴が有るのです。
まずは額面表示が変わり、外国の人でも読みやすくするために、算用数字を漢数字よりも大きくして目立たせるようにしています。
さらにレーザービームを使って立体画像をプリントするホログラムを用いるようになり、偽造防止対策をより万全になるのです。
このホログラムは、肖像画の立体映像が見る角度や向きによって変わる最先端のホログラムであり、これも新札の最大の特徴となるでしょう。
他にはすかしをより繊細な模様にしていたり、記番号が9桁から10桁に変わります。
新札に変える理由は?
新札を変える最大の理由はやはり偽造防止対策です。
新札の登場理由を解説するにあたっては、この偽造防止対策が必ず取り上げられ、それ以外の理由についてはそこまで触れることはありません。
そして政府からの公式発表でも偽造防止対策とはっきり銘打っているので、事実その通りなのでしょう。
実際に2001年の秋頃に券売機から偽札が発行され非常に話題になった事件があり、2004年の新紙幣発行はこの偽造事件も大きく関わっていると言われているのです。
しかし、深読みするくせが有る方々は、『新元号の発表に続いての発表となっているため、確実に新しい時代が始まることを意識させたいという政府の意図がある』と解説致します。
発表したのは2019年であり、5年前の発表とはかなり早いため、こういった考え方も出ているようです。
発表当時同じような質問をされた麻生財務大臣は、『たまたま』とか『偶然』と強調していたのですが、個人的には確実に意識していたと思ってしまいます。
渋沢栄一とはどんな人物
渋沢栄一を一言で紹介すると『近代日本経済の父』です。
本当に色んな事をやっている方なので、一言で表現するのは難しいのですが、彼が関わった大きな事柄を紹介すると、『第一国立銀行を創設』『東京海上保険設立に関わる』『東京ホテル建設に関わる』『日本鉄道設立に関わる』『王子製紙設立に関わる』『東京ガス設立に関わる』など、本当に多いのです。
教育の分野にも力を入れており、『一橋大学』や『東京経済大学』、『日本女子大学』などの学校設立にも関わっています。
社会福祉事業にも力を入れており、『東京養育院』や『日本赤十字社』などの設立にも関わっているのです。
さらに地方開発にも力を入れていたため、渋沢栄一が関わった第一国立銀行を通じて、地方の銀行の指導や支援も行った人物です。
生涯で500以上の事業に関わった人物であり、そのどの事業も今でも続く大企業となっています。
現在の1万円札は何年間使用された?
現在の1万円札が変わったのは2004年です。
その前は1984年で、さらに前となると1万円札は1958年、5000円札は1957年、1000円札は1963年となります。
1984年までさかのぼると20年サイクルということがわかっており、このサイクルが維持されるのなら、次は2024年にまたお札が一新されるでしょう。
ちなみに、今回のお札一新は2019年に発表されましたが、麻生財務大臣は『印刷開始までが約2年半の時間が必要で、自動販売機などの準備が約2年半かかると考えて発表した』といった言葉を発しております。
いわゆる印刷までかかる時間とお札が変わることで、影響のある様々な分野が適応するための時間をプラスして5年はかかると判断したようです。
駅の切符売り場や自動販売機等の対応はいつ頃完了?
新札は発行して終わりではなく、新札に適応しなければいけない様々なものが変化することで、初めて適応したと言えるでしょう。
具体的には自動販売機や駅の切符売り場やATMなど、お札を投入して何かを購入する必要があるものすべてで変更が求められます。
ただし、これらの変更を含めて2024年と麻生財務大臣は発表しているので、新札で本格的に自動販売機などで利用できるようになるのは、2024年の発行された時からと考えた方が良いでしょう。
ただし、新しいものを用意するのか改良するのかによって必要な時間は変わります。
このような適応は人口が多い場所ほど早く行われ、人口が少ないところは対応が遅れるものなので、田舎の自動販売機などは2024年になっても、新札が使えないといったトラブルが発生するかもしれません。
新1万円札対応にするための費用はどれくらいかかる?
新一万円札などの新しいお札が発生することで、かなりの費用がかかります。
たとえば、ATMやキャッシュディスペンサーなどの対応にかかる費用は、推定で3,709億円とされており、これは買い換えが3割で改修が7割と見積もったときの費用となります。
設置台数が非常に多いので、基本的には改修で対応するところが多いという考え方です。
自動販売機の新札対応費用は、6,064億円と推定されています。
自動販売機の買い換え費用は、50万円から60万円ほどかかりますが、改修ならば2.5万円程度で済むと言われているので、基本的には改修で対応するだろうと考えられているようです。
ただし、これほどまでに金額が大きくなっている理由は、自動販売機の設置台数が日本では非常に多いという理由があるためで、莫大な費用が必要になってくると言われているのです。
ちなみに、新紙幣発行によって発生する直接需要や『発行に伴う紙幣や硬貨そのものの発行コスト』と『新紙幣や硬貨に対応するための金融機関のコスト』と『自動販売機や券売機などの改修や買い換えコスト』の3つが該当しており、全部かなりの金額がかかる事業となっているのです。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回は新1万円札についてご紹介いたしました。
新札が発行されることはそれだけ費用がかかるため、いわゆる特需の期待があるのですが、日本でも大なり小なりキャッシュレス化が進んでいるため、その影響は少なからず有ると思います。
なので政府の試算よりも、実質的な費用は少なくなる可能性もあるのです。
キャッシュレス化が海外と比べると圧倒的に遅い日本ですが、徐々に進んでいるのは事実ですので、今回の新紙幣発行によってお札への考え方が、どのように変わるのかも見物だと思います。
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