なぜ日本のプロ野球先発投手はフタ桁勝利にこだわる?11勝10敗の評価は?もっと勝率や防御率優先では?

プロ野球もペナントレース終盤戦に差し掛かると、8~9勝の投手を多少無理なローテーションでもフタ桁10勝を目指して登板機会が与えらます。

なぜそこまでフタ桁勝利にこだわるのでしょうか?

もっと勝率や防御率評価をしたほうがいいのではないでしょうか?

そこで今回は、なぜ日本プロ野球ではフタ桁勝利にこだわるのかを、様々なデータを使って調べてみました。

二ケタ勝利して負け数がどこまで許されるのか、年俸がどうなっているのか、ご紹介いたします。

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11勝10敗でも評価される?

これは投球内容によって大きく変わってきますが、基本的に10勝10敗をしている投手となると、1年間頑張ってローテーションを守っている1軍レギュラー投手となりますので評価は高めでしょう。

わかりやすい例が、2017年にFA宣言した元西武の野上亮磨投手で、野上投手は2017年に最終的には11勝10敗防御率3.63という数値を残しています。

この年の西武の年俸は5000万円だったのですが、巨人にFAした結果年俸が1億5000万円と3倍に跳ね上がりました。

ただし、巨人ではほとんど活躍できていなかったため、2020年には年俸3000万円にダウンとなり、翌2021年で引退することになりました。

このように10勝10敗でも評価されることが多々あり、FA宣言すると余裕で億を超える選手になるのです。

今回のお話の結論を先に記載すると、『見栄えが良くなるから2桁勝利はしたいけど、今は評価する方法が大量にあるので球団側も、2桁勝利にそこまでこだわっていないように見えるし、選手側もこだわっていないような選手が増えている気がする』となります。

勝ち星が少ない投手も評価される?

昔の野球は勝ち星を評価の中でもそれなりの割合を占めていたとされていますが、現代野球ではそこまで勝ち星は評価されていないといわれています。

たとえば、圧倒的に援護が貰えない超無援護投手として有名な山本由伸投手は、勝ち星がとっても低い選手でしたが年俸はかなりのスピードでアップしています。

2021年は打線の援護があるので、ものすごい勢いで勝ち星を重ねていますが、それ以前がひどすぎます。

以下に活躍しだした2018年から2020年の成績と年俸推移を記載します。

2018年:登板数54  4勝 2負  1S 32H 投球回53 三振46 防御率2.89 WHIP1.06

年俸は800万円から4000万円にアップする、この年は中継ぎが多かった。

2019年:登板数20 8勝 6負 投球回143 三振127 防御率1.95 WHIP0.96

年俸は4000万円から9000万円にアップする、この年から先発するが無援護投手になる。

2020年:登板数18 8勝 4負 投球回126.2 三振149 防御率2.20 WHIP0.94

年俸は9000万円から1億5000万円にアップする、この年もものすごい無援護投手になる

この数字だけを見ると勝ち星なんて気にすることなく、すごいスピードで億越えの野球選手のひとりになっているのです。

特に2019シーズンは8勝6敗という数値だけを見ると、そこそこの投手というイメージをされてしまいがちですが、圧巻なのは防御率1.95であり、ここだけでもすさまじい投手であることが見えてしまうのです。

今の先発投手の評価基準は?

現代のプロ野球における野球選手は加点評価されるのが基本なので、勝ち星以外にも加点されるポイントがどれだけあるのかが重要視されます。

勝ち星以外だと防御率登板数投球回数が基本とされ、それ以外に奪三振数被安打数与四死球数QSHQSWHIPなどが、加点方式として採用されていると言われているのです。

ちなみにWHIPは、『Walks plus Hits per Inning Pitched』の略で、意味は『1投球回あたり何人の走者を出したか』となります。

式にすると数値化したものであり、『 (与四球 + 被安打) ÷ 投球回』という計算をされています。

こちらの数値は単純に毎回1人はランナーを出す人がいればWHIPが1になり、毎回2人を出す投手はWHIPが2になるのです。

つまり、このWHIPが少ない投手はヒットも打たれにくく、フォアボールも出さない投手と言えます。

とりあえずの目安として、このWHIPは1.00以下の選手はとてつもなく優れている投手と言われています。

1.3ぐらいの選手は普通と言われており、それ以下の選手はWHIPから見ると悪い投手となるのです。

こちらの数値を先ほどの山本由伸投手で見てみると、なんと活躍しだしてからずっと1以下です。

これはとんでもない成績で、毎年WHIPだけを見ても上位争いをしています。

これらの数値がデータ化され加点されるのが投手成績であり評価の仕方なので、たとえ勝利数が少ない投手でも、それ以外の項目で軒並み良い数値を残している投手は年俸がアップします。

逆に10勝10敗でもこれらの数値があまり良くない投手は、ファンが想定しているよりも年俸が低くなるというケースが出てくるのです。

田中マー君の24勝無敗の時は年俸はどれくらいアップした?

田中将大投手と言えばMLBでも通用した日本の大投手のひとりですが、やはりインパクトが強かったのは2013年の24勝無敗のシーズンでしょう。

その次の年には渡米してしまいましたが、このときのすさまじさからヤンキースとはびっくりするような金額で契約しているのです。

その金額何と7年155億円です。

つまり、推定年俸22億円となります。

渡米前の田中将大投手は年俸が4億円なので、18億円アップとなります。

また、田中将大投手はこの年無敗ではありますが、登板数が28回で24勝1Sとなっているので、引き分けもこの数値からもわかるのです。

2013年のデータを見てみると4月16日は勝敗つかず、5月28日は勝敗つかず、6月3日も勝敗つかずと3回ほど勝敗つかずになっているのです。

ちなみに、1セーブは球団の優勝がかかっている時の試合で、9回にクローザーとして登板したので非常に有名なシーンの1つにもなっています。

胴上げ投手にもなっていますし、楽天ファンならば絶対に忘れないシーンの1つでしょう。

また、登板間隔やローテーションに関してはそこまで短くなっていることもないので、通常の投手のように1年間ローテーションを守り続けていたと思われます。

ただし、相手のエースピッチャーにあえてあてるといった采配をしている可能性は高いので、1日程度は前後している可能性はあります。

過去に負け越した投手で年俸がアップした投手は?

 

過去に負け越したけど年俸が上がった投手はたくさんいます。

特にインパクトがあったのは、2014年のドラフトで入団した選手たちの1人である巨人の高木勇人投手で、最終成績は9勝10敗でしたがローテーションを1年守ったことなどを評価されて、年俸が250%もアップしました。

推定年俸で1200万円から4200万円です。

他にも2019シーズン後の契約更改交渉で、西武の今井達也投手が23試合登板で7勝9敗、防御率4.32で年俸がアップしています。

このように探せばいくらでもいるので、勝利した数よりも1年間どれだけ貢献してきたのかで考えた方がいいのです。

まとめ

以上、いかがだったでしょうか。

今回は先発投手の評価基準についてお話をして、10勝10敗する投手の評価はどうなっているのかをお話ししました。

現代でも2桁勝利にこだわる人もたくさんいますし、ファンも2桁勝利を求める声が多々あります。

個人的な見解ですが野球ファンを長くしてきた筆者からすると、その声の質が昔よりも大きく異なると思うのです。

昔は『2桁勝利をしない投手はエースではない』といった風潮がありましたが今では『見栄えが良くなるから2桁勝利して欲しい』ぐらいの考え方に多くの方がシフトしていると感じる今日この頃でした。

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