大阪府泉佐野市はふるさと納税制度によって一躍全国でも有名な市の一つとなりました。
今回はふるさと納税のしくみについて簡単に分かりやすく解説し、なぜ大坂の泉佐野市は大成功したのか、ふるさと納税導入後は各市町村は本当に潤ったのかを見ていきたいと思います。
ふるさと納税によって日本の市区町村はどのように変わったのでしょうか。
ふるさと納税とは?
ふるさと納税について総務省が公式サイトを用意して国民に説明しています。
詳しくはこちらの『総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税のしくみ|税金の控除について』をご覧ください。https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html
こちらを国の言葉としてふるさと納税について解説すると以下のとおりとなります。
自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行った場合に、寄附額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です。
(一定の上限はあります。)
引用資料:総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税のしくみ|ふるさと納税の概要より
もっとかみ砕いて説明すると、うまれた故郷や応援したい自治体に納税することで、住民税の控除といった特典が貰える特殊な納税制度となっています。
ふるさと納税が導入された理由や背景は?
このふるさと納税は2008年に創設された制度で、その背景には地方から人が集まる主要都市にどんどん人が流入してしまい、過疎化や産業衰退が始まってしまったことがあります。
この格差がどんどんと広がることで、地方と一部都市の格差が一気に広がっていってしまい、今でも止まっていません。
この格差是正のために、一部都市に集中してしまう税収を少しでも地方に流れるようにと国が考えて誕生したのが、この『ふるさと納税』なのです。
とてもわかりやすく動画で解説しているのがこちらの『【2020年度版】ふるさと納税のやり方や仕組みを解説!』になります。
この動画を見るとわかるように、地元を応援したいという人や気に入っている地域を応援できるという制度で、応援された側はお礼の品や税金還付や控除が受けられるようになります。
自治体によっては、まちづくりや復興支援などの使い道も指定することができるので、地方自治体によってかなりの差が出てくる制度にもなっているのです。
ふるさと納税の流れについて
ふるさと納税の流れは以下のとおりです。
控除上限額はその人の年収と家族構成によって決まってきますので、まずはそちらを確認しましょう。
シミュレーションも用意してあるので、そちらを使うと簡単に確認できますし、詳しく知りたいという方は税理士の方に相談してください。
ふるさと納税ができる期間は、1月1日から12月31日までを1年間単位で計算しているので、いつでもOKとなっています。
ただし、地方自治体によっては、特産品年末年始発送停止期間などがありますので、お礼の品が貰える時期については注意してください。
選ぶ基準は応援したい場所がどこか、もらいたいお礼は何なのかで調べると良いでしょう。
これはこちらの『ふるさと納税とは? | ふるさと納税 [ふるさとチョイス]』で検索するとお礼の品を簡単に見つけられます。
郵便振替もできますし、AmazonPayが使えるのもポイントです。
ここで申し込みが終わったら、後はお礼の品と寄付金受領証明書を受け取ってください。
その後は寄付先と金額と受領証明書を確定申告書共に提出して終了です。
なぜ泉佐野市は成功して全国的に有名になった?
ふるさと納税で一気に有名になった泉佐野市は、データでも2018年度には約498億円もの寄付金を集めたために話題となりました。
詳しくはこちらの総務省の資料をご覧ください。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000636996.pdf
泉佐野市に続く2位が静岡県小山町なのですが、約251億円なので約二倍の差があり、圧倒的な1位であることがわかります。
他にも泉佐野市が有名になった理由はありますが、このようにふるさと納税をうまく活用した地方自治体として爆発的に名前が広まったのです。
ふるさと納税導入後、各市町村は潤った?
先ほどの総務省の資料からもわかるのですが、ふるさと納税を大量にもらっている場所と、もらっていない場所がかなりの格差ができています。
一部の市町村だけが潤っており、全く目も当てられていない市区町村も存在します。
そのため、一部の市区町村は潤いましたが、地方と都市の格差を埋めたいという問題は解消されていません。
ふるさと納税はどんな事に使われた?
ふるさと納税は自治体によっては、まちづくりや復興支援などの使い道も指定できますが、こういった指定が無い場合は使い道は自由となります。
泉佐野市では集まったふるさと納税で、市内全18校の小中学校の体育館へガスエアコン(GHP)や非常用発電機を設置し、市民の災害時避難先の充実化を図りました。
また様々なプロジェクトに展開しており、市内各小中学校の設備の新設や老朽化している箇所、危険度及び緊急度の高い箇所の改修工事を行っているのです。
具体的には、すべり台設置工事や校舎大規模改修工事等を行っています。
なぜ国は、成功した泉佐野市に対してペナルティを下した?
ふるさと納税制度は返礼品によって注目度の違いが明確になってしまったことで、総務省は2015年から返礼品規制を行い、2018年には地場産品規制が本格的に始まりました。
泉佐野市は、Amazonギフト券や地場産品ではない牛肉やビールまで返礼品にしていたのが、非常に注目度を高めていたのです。
あまりにもやり過ぎたということで、一部の有識者からも指摘され換金性や還元率の高い返礼品が政府側からも問題であるという認識になったのです。
その結果2019年6月から対象自治体を『指定制』にする新制度が誕生し、ふるさと納税制度から泉佐野市が対象外となります。
この除外指定が違法であるとして、泉佐野市は国と全面対決をする姿勢をあらわにして提訴しました。
そして2020年6月に、最高裁が総務省の除外指定取り消しの判決が出たことで復活しました。
いわゆるペナルティとは、この2019年6月から対象自治体を『指定制』で除外されたことなのですが、最高裁での対決で勝ったことでペナルティはなくなったのです。
元々の出発点が『首都圏と地方の税制格差の是正』だったのですが、この目的を失い争いになってしまったのは、あまりにも笑えない政治のゴタゴタと言えるでしょう。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回はふるさと納税について解説し、大成功した泉佐野市についてもご紹介いたしました。
あくまでも地方自治体に任せて始まったのがふるさと納税だったのですが、その結果が様々な御礼の品で寄付を募る制度活用です。
このことは制度を導入したときから、『この様な問題が出るのでは・・』と疑問に思った人も多いとか思います。
返礼品に対する規制を最初からしておかないと、この様なバトルが始まってしまいますので、日本の政府側で問題が発生する前になんとかならないのかと考えてしまうところです。
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