野球における醍醐味は人によって異なると思いますが、多くの方に求められるのがホームランです。
今回はホームランが、出にくい球場についてご紹介いたします。
ホームランの出やすさが、ここまで大きく数値として違ってくるのかもしっかりと言及していきましょう。
現在野球におけるホームランの考え方やこれからの球場変化についてもご紹介いたします。
日本のホームランが出にくい球場
ホームランが出にくい球場かどうかをお話しするときに確実に役立つのパークファクターです。
これはそれぞれの球場がどれだけホームランが出やすいかどうかを数値化したものであり、1.00が平均値として計算しています。
つまり、1より大きい球場はそれだけホームランが出やすく、1より低いところはそれだけホームランが出にくいのです。
考え方もシンプルで、1.5という球場があると他の球場よりも50%ほど多くホームランが出る場所となり、0.5という球場があると他の球場よりも50%もホームランが出にくい球場となります。
参考資料
この記事をまとめているのが2021年10月25日なので、全試合はまだ未消化ですが、ある程度の試合数はこなしているので大幅な数値変動はないでしょう。
それを踏まえてみてみると、セリーグでホームランが出やすいのは、本塁打におけるパークファクターが1.37と1.28になっている明治神宮球場と東京ドームです。
ホームランが出にくい球場は0.57と0.79になっているバンテリンドームとマツダスタジアムになります。
パリーグだとホームランが出やすいのは1.31と同値になっている福岡PayPayドームとZOZOマリンスタジアムで、ホームランが出にくい球場は0.68という数値を出している楽天生命パーク宮城になっています。
ただし、その年だけ異様に数値がぶれたというケースもあるので、理想は過去5年間や10年間分のデータを見ることです。
具体的な数値はここでは取り上げませんが、はっきり言えることは圧倒的にホームランが出にくいのは中日の本拠地バンテリンドーム(ナゴヤドーム)になります。
明治神宮球場は1.3以上になることが多いのですが、バンテリンドーム(ナゴヤドーム)は0.5から0.8の間で集束していることが多く、明治神宮球場よりも常に50%程度の差が出ています。
パリーグだとテラスがある千葉ロッテやソフトバンクホークスの本拠地が1を超えやすく、フェンスが高いオリックスや日本ハムの本拠地は1未満になることがほとんどです。
パリーグでも球場格差はありますが、セリーグほどではないと思います。
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選手による能力差があるのでは?
パークファクターのお話をすると必ず出てくるのが、選手による能力の差によってこのような数値の差が出ているという意見です。
しかし、パークファクターはそういった差が出ないように計算されています。
たとえばこのヤクルトと中日の2チームしか存在しないと考えたときに、どちらも必ずホームとアウェイの試合があります。
そこで発生するお互いの球場での本塁打の数を見るのです。
あくまでも見るのは試合ごとに発生するホームランの数なので、選手の能力は関係ありません。
選手による能力差は一切関係ないのがパークファクターなので、球場による違いを見るために最もわかりやすい数値となっているのです。
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なぜここまで差が出るの?
ホームランの出やすさが50%も違うというのはもはや違う競技と捉えることもできます。
なぜここまで差が出ているのでしょうか。
大きな理由は3つあります。
フェンスまでの距離
日本における球場の基本的なフェンスまでの距離は、バックスクリーンまでが120m程度で、両翼が100mとなります。
この距離関係はある程度一緒なのですが、横浜スタジアムと阪神甲子園球場は両翼が狭くなっているためポール際に打てば、ホームランが出やすい球場になっています。
また、横浜スタジアムや阪神甲子園球場は実はバックスクリーンまでの距離も短く、センターに強く打つと距離的には入りやすいと言えるのです。
数値だけ見ると阪神甲子園球場はホームランが出やすいと思うかもしれませんが、実は左中間・右中間までの距離が最も長く118mもあります。
東京ドームは左中間・右中間までの距離が110mと言われているので8mの差があるのです。
この差が非常に大きく、阪神甲子園球場はホームランが出にくく、東京ドームはホームランが出やすい里湯の一つになっています。
フェンスの高さ
当然ながら、フェンスが高ければ高いほどホームランは出にくいです。
こちらの『プロ野球の本拠地球場の広さランキング!収容人数・外野・フェンス・ホームランの出やすさも!』を見てもらいたいのですが、札幌ドームはフェンスの高さが5.75mもあるのに、楽天のホームは2.075mとものすごく低いことがわかります。
参考資料
風の影響
明治神宮球場では、ホームランが大量に毎年出ている最大の要因がこの風にあるとされているのです。
というのもヤクルトのホームである明治神宮球場は、夏になるとホームから外野方向に風が吹くため、外野フライがそのまま伸びてはいるというケースが多発します。
逆にホームランが出にくい阪神甲子園球場では、浜風が外野からホーム側に拭く傾向にあるためホームランが出にくいと言われています。
明確にはバッターボックスから真っ直ぐにバックスクリーンを見た時に、ライトスタント側から押し戻すような風がレフト方向に吹いているのです。
詳しくはこちらの『熱戦続く夏の甲子園 名物「浜風」とは? – ウェザーニュース』を見てもらいましょう。
参考資料
こちらの画像のような風が吹いているので、左バッターで引っ張り打ちが得意な人や右バッターで流し打ちで強く打てる人はホームランが出にくいと言われているのです。
日本の球場はこれからどうなる?
日本人は元々パワーがないため、プロ野球でもラッキーゾーンが設置されているのが当たり前でした。
このラッキーゾーンは阪神甲子園球場でも1991年シーズンまで存続していましたが、その後はずっと撤去されています。
日本人選手でもパワーがついたからという理由もありますが、最大の理由はバットやボールの品質改良にあるとも言われているのです。
こういった理由からラッキーゾーンが撤去され、その後の球場はやや大型化したものが増えます。
しかし近年の野球スタイルは、できる限りホームランを増やしたいという考え方に変わってきているため、ソフトバンクホークスのホームがまず先にホームランテラスを用意したように、千葉ロッテマリーンズのホームでホームランテラスが用意されたのです。
もちろん、テラスがある球場はホームランの数がとっても多くなります。
そういった状況もあり、パークファクターからも圧倒的にホームランが出ていない中日のホームでは、いつもテラスをつけるかどうかで議論されています。
この流れは止まらないと思いますので、他の球場でもテラスができる可能性は高く狭くなることが予想されているのです。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回はホームランの出にくい球場についてお話ししました。
多くの野球ファンがわかっているように、ナゴヤドームと札幌ドーム、そして京セラドーム大阪はホームランが出にくいです。
解決方法はテラスを増築するとかフェンスを下げるといった対策しかありませんので、球団オーナー側が動かない限りこの状況は続くでしょう。
しかし、これも球団の特徴の一つとなっているのも事実なので、個人的には今のままでいいとは思っています。
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