野球はメジャーリーグを筆頭に細かいルール変更がしばしば行われます。
日本のプロ野球もメジャーリーグの影響を強く受けているので、こういった変更に対して日本風にアレンジしつつ取り入れる日本プロ野球界があります。
しかし、その中でも独自のルールで運用されているのが高校野球で、近々高校野球の金属バット使用基準が改定されることで話題となっています。
そもそも、なんで変更することになったのか実際のそのルールが適応されるのはいつからなのかも見ていきましょう。
高校野球の金属バット使用基準はいつどう変わる?
ザックリと説明すると、『2024年から明確に金属バットを昔より飛ばなくさせる』といった改訂です。
より詳しく解説すると、金属製バットは最大径が67mm未満になっているところを、新基準は64mm未満にします。
さらに打球部の肉厚を3mmから4mm以上にすること、そして重さは900g以上を維持することとなっています。
これは金属部分の厚さに規定を設けることで、反発力を弱めるという考え方であり、打球速度の高速化を減らすための措置となっているのです。
これによって新基準の金属バットは木製に近い感触に近づきます。
その内容について触れているのがこちらの『2024年より低反発バットへ完全移行 投手のケガ防止、負担軽減となるか(高校野球ドットコム) – Yahoo!ニュース』の記事で、こちらの記事が正しければ2024年シーズンから金属バットが完全に新規制に則ったバットになるとのことです。
参考資料
金属バットの耐用年数は使い方やメーカーなどによって多少異なりますが、部活動などで本気で使い込んだバットは1年から2年で交換するとのことなので、2年のスパンがあったのでしょう。
つまり、2022年4月に高校1年生になった人は1年生や2年生まではいつも通りのバットの使用がOKですが、3年生になったら低反発の新バットに変更することになるということです。
いきなり新バットに切り替えるというのも確実に違和感が発生すると思いますので、これからの高校生は新バットでの練習も必要になるでしょう。
2024年春の選抜から完全移行となるので、これは高校野球ファンもきっちりと覚えておくべきです。
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変更をすることになった理由は?
簡単に解説すると打高がかなりの速度で進んだからです。
近年はしっかりと体を鍛えられた高校生が増加し、しっかりとバットを振り抜ける高校生が続出した結果、打球速度がかなり上がってしまいました。
その結果、2019年の夏の甲子園でのピッチャー返しにおいて顔面で受けることになり、頬骨を骨折することになったのですが、これも打球が高速化してしまった弊害と考えられていたのです。
このような打高の状態を解消するために、バットの改訂が行われます。
こういったバットの改訂は実は一度だけではなく、過去にも行われているのも
1974年に金属バットの使用が始まり、甲子園であのカキーンという金属バット特有の音が鳴り響くようになったのですが、導入直後はまだまだ金属バットへの移行が行われておらず、ホームランもそこまで増えていません。
その後、金属バットが浸透することでホームラン後劇的に増えたのですが、あまりにも打撃音がうるさかったので、甲高い音がでない消音バットに改訂されます。
さらに、そこからも打球速度や飛距離が伸び続けて、2001年秋の大会から硬式金属バット改訂が行われて重さが900g以上かつ最大径が70mmから67mmに変更となったのです。
しかし近代スポーツの進化によって、高校生もスイングスピードが向上し振り抜く力が増した結果、今のバットのままでは打高が進むと判断して変更となったのでしょう。
アメリカはどうなっているの?
アメリカでもリトルリーグや高校野球や大学野球がありますが、彼らの野球道具はどうなっているのでしょうか。
こちらも実は2012年から反発係数を木製バットと同じにしている仕様のバットの導入が行われており、見た目は金属だけどほとんど木製バットに近い感覚で触れると言われています。
つまり、そういった野球環境で育ったメジャーリーグの選手達は、プロになったとしてもあまり変わらない感覚でバットを振っているのでしょう。
ただし、アメリカでのこのバットは反発係数のみの規定を守ったバットとのことなので、日本の公式戦では使えないと考えてください。
低反発の新バットになるメリット
色々とこの低反発の新バットを導入することにはメリットがありますので、このメリットについてまとめていきましょう。
個人的にもこれらのメリットは重要なことだと思っているので導入には大賛成です。
討ち取る確率アップによる球数制限導入の後押し
こういったバットの導入は当然投手に有利に働きます。
今の野球は高校生でも球数制限ルールがかなりぬるいですが用いられるようになり、これからこのルールも厳しくなる可能性があるのです。
そういった状況において投手有利な状況になれば投球数も削減できるので、投手負担も減らせる可能性が出てくるでしょう。
極端な打高投低は投手負担が増加してしまいますので、これはいい事だと思っています。
ピッチャー返しの怪我を減らせる
ピッチャー返しの怪我は打球速度が速すぎることで発生することが多いので、これが一気に減らせるのはこういったバットの変更によるところが大きいでしょう。
ホームからピッチャーまでの距離は約18mですが、投げた後の投手の位置は前に来るので17mくらいとなりますが、その時の投手が反応できるかどうかは投げた後の投手の姿勢や反応速度、打球速度が大きく関わってきます。
木製バットへの対応が早くなれる可能性が高まる
金属バット特有のあの感覚が木製バットにより近づくことで、アマチュアの頃からプロの打撃に近い練習をよりしやすくなるでしょう。
高校球児がプロや社会人や大学野球に進むことで必ず発生するのが、金属バットから木製バットに切り替えることです。
この切り替えが出来ずにプロになってもそこまで輝くことなく消えていった選手もたくさんいます。
こういった問題を減らせるようになるのは大きいでしょう。
低反発の新バットになるデメリット
低反発の新バットになることでのデメリットは、予算がかかることと乱打戦やホームランが減ることでしょう。
予算に関してはちょっと痛手だと思いますが、今後の高校生の進路や怪我のことを考えるとそこまで問題ではないと考えています。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回は高校野球の金属バット使用基準が改定について色々とご紹介いたしました。
打球速度を抑えることで、ピッチャー返しによる怪我を防止する事は重要な事です。
金属バットの改定はとても大きいのですが、個人的に贔屓球団の高卒野手が全く出てこない状態に、ものすごくヤキモキしているので、こういったヤキモキが減る可能性が高まるのはとってもうれしいです。
プロの壁と言ってしまえばそれまでですが、バットによるところが大きいのならこの変更によって好転することを願います。
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