メジャーリーグの労使交渉がもめていましたが、日本時間2022年3月11日にやっとまとまりました。
今回はこのメジャーリーグの労使交渉の何がもめているのかをわかりやすく解説します。
大谷翔平選手の大暴れによって盛り上がったメジャーリーグが、労使交渉によって別の意味で盛り上がりました。
よくわからない人にとっては、『何が何だかわからないけどオーナー側と選手側がもめている』といった状態になっていました。
そんな人達向けに、どうしてここまでもめてしまったのか、選手会側の主張はどうなっているのかも解説していきましょう。
メジャーリーグの労使交渉で何がもめたの?
メジャーリーグでは労使交渉がひたすらもめにもめてしまい、あまりこの裏事情を知らない方々にとっては『よくわからないけどなんか選手会側とオーナー側がお金でもめている』という印象でしょう。
本当にザックリと説明してしまうと、選手会側とオーナー側がお金でもめているのですが、どうしてもめているのかを掘り下げると、日本ではあまり考えられない問題が色々と出てくるのです。
これはメジャーリーグ独特のルールになっているので、そちらを知ることでどうしてここまでもめてしまっているのかが見えてきます。
とりあえずもめている内容を文字ではなく動画で見たいという方は、上記の『MLBストライキ?ロックアウト?労使協定交渉!』について観てもらいたいです。
これである程度もめている原因が見えてきます。
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選手会側の主張を一つずつ掘り下げる!
メジャーリーグは日本のプロ野球と比較するとなかなかに理解するのもちょっと難しい特殊なルールがいくつもあります。
そのルールに基づいた変更をメジャーリーグの選手会側が主張しているのです。
彼らの主張と独特なルールについて詳しく見ていきましょう。
最低保証年俸や年俸調停権をどうにかしてほしい!
メジャーリーグは最初に契約した人に対する年俸システムもものすごく独特で、メジャー最初の3年間はどれだけ活躍したとしても最低保証年俸で固定される仕組みになっており、年俸調停権がありません。
ただしこの3年間というのは、メジャー経験が3年以上であり1軍登録をされている期間がほとんどない選手はもっと期間が長くなってしまいます。
この最低年俸が21年は57.5万ドル、これをどうにかして欲しいという主張です。
また、年俸調停権を取得するまでの期間を3年間よりも短くしろという主張もしています。
実際にかなりの活躍をしている新人もこの3年契約があるせいで、年俸がめちゃくちゃ抑えた契約になっているケースも多々あり、選手会側はどうにかしてもらいたいと主張しています。
ボーナスプールをどうにかしろ
これはメジャー1~3年目に大活躍した選手に対する活躍の度合いによって分配されるボーナスのようなもので、選手会側は1億ドルだったのにオーナー側は1500万ドルと主張しています。
この開きもあまりにも大きすぎたために労使交渉で何度も題材になってしまいました。
FA権についての状況もどうにかしろ
アメリカ特有の契約体系として、この年俸調停権がない3年間も年俸を押さえ込まれ、FA権取得のメジャー6年目までも改めて年俸が抑えられるケースがあります。
ここで本格的に大活躍した選手は、このFA権を獲得した瞬間に大型契約があちこちから提示されるという状況だったのです。
しかし、データ分析や選手の解析が圧倒的に集めることが出来てしまう現代野球では、年俸がとっても高いFA選手よりも若手で安くてある程度活躍できる選手を使う傾向が強くなっているのです。
さらに厄介なことに、FA権を獲得すると強制的にFAとなり出て行く可能性が高まって再契約しようとしても年俸も高くなるので、あえて1軍デビューを遅くさせてFA権取得時期を先延ばしにするというやり方も蔓延しており、こういった状況も選手会側は納得していません。
贅沢税をなんとかしてほしい!
選手会側の主張とものすごい乖離があったのが、このメジャー特有の贅沢税に関するルールです。
これは年俸が高すぎるチームが出ないようにするためのメジャーリーグ独特のルールで、設定金額を超えると超えた分だけペナルティーが発生するという仕組みです。
しかし、この贅沢税が悪い意味で邪魔になっているのです。
この上限設定金額があるせいで、どれだけ活躍したとしても年俸が高い選手が多くいるチームの選手は年俸が予想よりも上がらない状態になるというケースが発生しております。
可能ならば撤廃、撤廃が無理ならば大幅に引き上げて欲しいと選手会側は主張しています。
最初の交渉でもこの部分はオーナー側と選手会側でものすごい隔たりがあり歩み寄る姿勢が全く見えませんでした。
タンキングが横行している状況をどうにかしてほしい!
タンキングとはアメリカのプロスポーツ界における独特なワードで、一言で説明するとわざと負けることです。
このわざと負けるような状況を作ってしまっているのは、メジャーリーグにおける独特なルールがいくつか原因となっています。
まず、アメリカのプロスポーツは上位チームと下位チームの差を少しでも詰めるために、順位が低いチームからドラフト権が発生するようになっています。
つまり、あまりにもチームが弱くて何をしても勝てない状況になったのなら、残りの試合を全部捨ててわざと最下位になり、ドラフト権獲得を目指すという状況になっていたのです。
さらにたちが悪い事に、メジャーリーグは放映権を均等に分配する仕組みがあり、さらに各チームのローカル収入も一旦MLBにプールした後に分配するという仕組みがあるのです。
つまり、放映権と分配金でプラスになるような状況を作ってしまうチームは、どれだけ観客が全く入らないスカスカな球場を見せつける形になったとしても、収支的にはプラスなのでオーナーサイドは痛くもかゆくもありません。
こういったわざと負けるようなチームを作っていると、その球団はFAでも選手を全く獲得しなくなり選手の活躍の場所が減っていきます。
しかも、こういったチームと対戦したところで高確率で勝ててしまうので全く面白くありません。
これでは競争要素がなくなり見ている側も面白くなくなります。
最終的にどうなった?
こういった交渉が選手側とオーナー側で行われましたが、2022年3月10日(日本時間11日)に、締結してロックアウトが解除されました。
結果として、162試合制がきちんと確保出来たため、日程は多少ずれるでしょうが試合はちゃんと行われそうです。
お金の面に関してはかなり開きがありましたが、ボーナスプールや最低保障年俸や贅沢税も上昇しました。
しかし、FA取得までの期間やタンキングに関する具体的なお話を見つけることは出来ませんでした。
お金に関してわかりやすい部分はある程度の成果が出たのだと思いますが、タンキングを防止できる状況を作らないとつまらない野球が横行してしまうでしょう。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回はメジャーリーグの労使交渉で何が問題になっているのかを紹介しました。
一言でまとめるとお金の問題となりますが、その理由を掘り下げると日本のプロ野球では色々と考えにくい様々なルールが問題となっていることがわかります。
特に、優秀な若手を長く使うためにあえて1軍登録しないとか、分配金が高いから年俸を下げまくってチーム人気が壊滅的な状況になっても問題ないとかは、致命的な問題だと思います。
こんな問題が横行しているのでは、プロスポーツとしてあってはならないと思います。
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