日本は様々な文化がありますが、その中で世界と比べても突出していると言われているのが食文化です。
今回はこの食文化の中から誕生したとも言われているタラコスパは、パスタ本場のイタリアに存在しているのか、そしてタラコスパはそもそも日本でいつから普及したのかをご紹介いたします。
また冷蔵庫がない時代にもタラコはどうだったのでしょうか?
イタリアのメニューにタラコスパはある?
結論から記載すると、イタリアにタラコスパは存在いたしません。
まず皆さんに知って頂きたいのですが、タラコスパに使われるタラコはタラの卵巣及びこの卵巣を使った食品になります。
日本ではマダラを使ったタラコはほとんど一般には出回らず、スケトウダラの卵巣を使った食品が一般的です。
そもそもイタリアのスーパーでは、トビコやイクラやキャビアといった魚卵は売られていますが、タラコは売られていないようです。
タラコが存在しないのなら、タラコスパは存在しないでしょう。
実際に日本在住のイタリア人にタラコスパを紹介するとほとんどの人達が、『初めて食べる味』とか『見たことがない』という声を上げています。
参考になるのがこちらの『【後編】イタリア人が選ぶイタリアっぽくないメニュー選手権 | フラミンゴ 英会話ブログ(https://app-flamingo.com/blog/201901pr002/)』というブログです。
こちらでタラコスパを食べているのですが、はっきりと『イタリアには明太子ないよ!!だからたらこパスタもない!!』と記載しているのです。
ただし日本では細長いスパゲッティがパスタという認識ですが、イタリアではパスタとは日本で言うところのショートパスタが該当しており、パスタという区分で考えない方が良いかもしれません。
イタリアではスパゲッティとパスタの種類がびっくりするほど多いので、それらの種類ごとに合う合わないがあり、どんな食材でも適合するスパゲッティやパスタがあるとすら言われております。
イタリア人はタラコスパをどう思っている?
先ほど記載したように、イタリアではキャビアやトビコやイクラなどの魚卵が売られているため、タラコも問題なく受け入れられる方も多いと言われております。
実際にイタリア人にタラコスパを紹介している動画やサイトがいくつかありましたが、基本的には受け入れているイタリア人が多かったので、美味しいと感じる人が多いのだと思われます。
また、こちらの『イタリア人が「ホントに!?」とショックを受けた日本のパスタ事情 – LIVE JAPAN (日本の旅行・観光・体験ガイド)(https://livejapan.com/ja/in-tokyo/in-pref-tokyo/in-tokyo_train_station/article-a0003441/)』では、イタリア人にパスタについてインタビューしている記事となるのですが、この人は和風パスタを完全に受け入れており、中でもタラコスパがお気に入りと発言しています。
もちろん、日本人の中には魚介類全般がダメという人がいるように、イタリア人でも魚介類全般がダメという人もいます。
タラコを食べられないイタリア人もいると思いますが、こればかりは人の好みがあるのでなんとも言えません。
日本人でも味の好みがあるので、イタリア人でも好みが分かれるのは当然だと思いますが、魚卵系が大丈夫なイタリアならばタラコも受け入れられるのではないでしょうか。
日本でいつからタラコは普及した?
次は日本でのお話になります。
このようにパスタにも混ぜることで、タラコスパとして受け入れられるようになっている日本なのですが、実はタラコには2つの発祥があるのです。
1つは江戸時代中期から江戸で食べられていたとされている北海道や北陸で食べられていたタラコです。
こちらのタラコがどのように普及したのかは謎ですが、江戸中期の茶人であり医者の遠藤元閑が記した懐石料理の書『茶湯献立指南』にタラコにまつわる記述があるので、江戸時代中期では江戸でもタラコが食べられていたのだと思われます。
日本では北海道や宮城県の石巻がスケトウダラの漁獲量が多くなっているので、美味しいタラコはやはり北陸から来ているのです。
もう1つが、明太子が名物となっている福岡県となります。
明太子が日本で本格的に普及したのは、福岡市博多区に本社がある辛子明太子のメーカーの創業者『川原俊夫氏』の力が大きいと言われております。
この方は釜山生まれで、満州から福岡に引き揚げたという経歴の持ち主で、韓国料理に詳しかったのですが、その中で朝鮮料理の『明卵漬』を日本風にアレンジした明太子を誕生させます。
本格的に販売し始めたのが1949年からなのですが、最初のうちは受け入れられなかったようです。
そこから日本人の口に合うようにアレンジされたことで徐々に広まり始め、さらに商標登録や製造法特許も取得しないで公開しむしろ教えたことから福岡県で明太子メーカーが一気に増えます。
そこから1975年に山陽新幹線が博多駅まで繋がったことで、福岡県にある明太子の認知度が上がり、さらに新幹線駅や東京の三越で明太子屋を始めるお店が出始めました。
そして日本全国に明太子が普及します。
このことから福岡県で明太子が広まったのが1960年代で、日本全国に明太子が広まったのは1970年代と言えるでしょう。
冷蔵庫がない時代にもタラコは存在した?
江戸中期の茶人であり医者の遠藤元閑が記した懐石料理の書『茶湯献立指南』にタラコにまつわる記述があるということでしたので、冷蔵庫がない時代にもタラコは食べられていたのだと思います。
しかし、タラコは鮮度が命であり常温だと直ちに鮮度が低下してしまいます。
そのため、冷蔵庫がない時代における長距離輸送は無理でしょう(多少痛んでも気にせずに食べていた可能性もありますが・・・)。
スケトウダラは、茨城県以北の太平洋沿岸や北太平洋に広く分布している魚ですが、江戸時代は東京湾でも獲れたのかもしれません。
日本でもタラコの賞味期限は約1週間とされており、常温だと1週間持たないので注意しましょう。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回はタラコスパがイタリアにあるのか、そもそもイタリア人はタラコスパという存在は受け入れられるのかをみていきました。
いくつかの動画や記事を見た限りではイタリア人もタラコスパは受け入れられるのだと思います。
しかし、タラコそのものがイタリアにはないためタラコスパという存在は日本オリジナルでイタリアでは食べられていないのです。
タラコはキャビアを含めた魚卵が色々とあるイタリアならば、高確率で受け入れられる食材だとは思いますが、長期保存もしにくいので、イタリアにタラコが進出することは当分ないでしょう。
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