秋分や春分は祝日にもなっているので圧倒的に知名度の高い二十四節気ですが、逆にマイナーすぎて、ほとんど聞いたことが無いという二十四節気も存在しています。
今回は日本における春の季節を表す二十四節気の一つ、雨水とは何か、2022年はいつになるのか、意味や由来はどうなっているのかを解説いたします。
現代の季節感と解説を聞いてもマッチしないという人は、同時期にあるイベントや風習もご紹介いたします。
雨水(うすい)の意味
雨水とは『空から降るものが雪から雨に切り替わり、氷が溶けて水となる』という意味で、春の二十四節気の一つとなっています。
詳しくは後述しますが、地球と太陽の位置関係からなる太陽黄径が、330度から345度の間のシーズンとなります。
春一番が吹き始めるシーズンでもあり、暖かい地域によっては草木が芽生える頃なので、昔は農家の方が本格的に行動を開始する時期でもあったのです。
1787年に太玄斎の書いた暦の解説書である『暦便覧』には、雨水は『陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となれば也』と解説しています。
地球と太陽の位置関係からなる太陽黄径とは?
太陽黄径とは簡単に記載すると、『太陽が1年かけて1周するように見える移動経路を黄道として、その黄道を春分が始まる地点を0度として360度に分けたもの』となります。
いわゆる太陽が地球の周りを回っているという考え方で、その軌道から考えられたのが太陽黄径となるのです。
春分が始まる地点を0度としていますが、これは地球の赤道をそのまま延長した『天の赤道』の交点の一つになります。
交点となるので2箇所できるのですが、太陽が南から北に移動した考えられる始点が春分点で0度、北から南に移動したと考えられる始点が秋分点で180度となるのです。
先ほど太陽黄径が330度から345度の間のシーズンが雨水であると解説しましたが、つまり始点であり、0度である春分点から太陽が330度から345度ほど移動したところが雨水となります。
ちなみに、この360度を太陽が1年かけて移動するという考え方になりますので、だいたい1日に1度移動すると考えることができます。
そのため、1年を24分割している二十四節気は1つの節季がだいたい15日区切りとなっています。
2022年の雨水はいつ?
2022年の雨水は、2月19日1時43分から3月5日23時44分までとなっています。
星の動きでいつからいつまでなのかが、はっきりとわかるようになっているので、分刻みではっきりとわかるのです。
他の二十四節気を見たいという方は、国立天文台のサイトである『令和 4年(2022)暦要項 二十四節気および雑節』をご覧ください。
参考
2月上旬の立春が春の始まりと言われますが、日本の気候では全くそのようなイメージはなく、3月に入ることでようやく春を実感できる人も多いでしょう。
3月は卒業のシーズンなので春のイメージもかなりあると思います。
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雨水における七十二候は?
より二十四節気に詳しくなりたいという方は、この二十四節気を初候・次候・末候と3分割した七十二候を知るといいでしょう。
ただし、中国の気候に沿って作られた七十二候では、日本の気候にマッチしないことが多々あるので、江戸時代に日本向けに編纂された『略本暦』を中心に見た方がわかりやすいです。
日本で編纂する前の中国の気候にあわせた七十二候は、『宣明暦』と呼ばれるものとなりますが、ここではこの2つとも紹介して参ります。
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雨水における『初候』
雨水における『初候』は以下の通りです。
略本暦(日本):土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)⇒雨が降って土が湿り気を含む
宣明暦(中国):獺祭魚(かわうそうおをまつる)⇒川獺が魚を並べて食べる
『脉』という漢字は『脈』の俗字であり、『土脉』を『土脈』と記載して『どみゃく』と読むこともあります。
また宣明暦では『獺祭魚』という表現をしていますが、この漢字を見たことがあるという人も多いでしょう。
日本で非常に有名になった『獺祭(だっさい)』という日本酒がありますが、これが由来となっています。
川獺は捕らえた魚を川岸に並べるという習性があったので、お祭りしているように見えたことからこのような表現をされていると思われます。
雨水における『次候』
雨水における『次候』は以下の通りです。
略本暦(日本):霞始靆(かすみはじめてたなびく)⇒霞がたなびき始める
宣明暦(中国):鴻雁来(こうがんきたる)⇒雁が北に渡る
春の霞んだ月を『朧月』と表現しますが、雨水の次候では春霞がたなびき始めるという表現を使っています。
雨水における『末候』
雨水における『末候』は以下の通りです。
略本暦(日本):草木萌動(そうもくめばえいずる)⇒草木が芽吹き始める
宣明暦(中国):草木萌動(そうもくきざしうごく)⇒草木が芽吹き始める
略本暦と宣明暦では読み方は違えど漢字と意味は一緒です。
いわゆる草木が芽を出し始める時期となりますが、3月上旬に該当する雨水の末候は春の兆しがかなりあり、こういった表現もイメージしやすいと思います。
雨水の時期にある風習やイベントは?
2022年の雨水は2月19日1時43分から3月5日23時44分までです。
この時期にはどのようなイベントや風習があるのでしょうか。
ひな祭
3月3日はひな祭があります。
今ではひな壇を家で飾るという人はかなり少なくなってしまいましたが、やはり雨水を代表する様々な風習が見られるイベントと言えばこのひな祭でしょう。
特にわかりやすい違いが『関東雛』と『京雛』の違いでしょう。
向かって左にお殿様が座っているタイプが『関東雛』で、向かって右側にお殿様が座っているものは『京雛』になります。
古くから『左上座が一番偉い』という考え方があったので、その考え方に則っているのは『京雛』です。
関東雛でこのように違いが出るようになった理由は、大正天皇即位の礼で洋装の天皇陛下が、西洋のスタイルを取り入れて皇后陛下の右に立ったことにあります。
また関東タイプの雛人形は、顔つきがややふっくらして可愛らしいタイプが多いのですが、京雛は鼻筋がはっきりとして目つきも切れ長な細面と言われるタイプの顔つきになっているのです。
高校の卒業式
小学校や中学校の卒業式は3月の中旬に行うことが多いので雨水の時期から外れますが、高校の卒業式は3月1日に行うところが多いのでぴったりと当てはまります。
人生で何度か卒業式は体験することになりますが、その中でも最もインパクトがあると取り上げる人も多いのが高校の卒業式です。
今現在社会人の人でも『雨水は高校卒業の時期と一緒』と説明することができれば、すぐにイメージと合致するでしょう。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回は二十四節気における雨水について詳しく解説しました。
雨水は高校卒業シーズンとマッチする節季なので、かなりイメージがしやすいと思います。
筆者も個人的には、卒業シーズンや入学シーズンは春というイメージがかなりありますので、雨水とは結びつけやすかったです。
インパクトがあるイベントや風習そして、行事と結びつけることができれば、覚えにくい二十四節気でも思い出せるようになりますよね。
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