七十二候とは?意味や由来と二十四節気との違いは?

七十二候とは何?意味や由来について解説します!二十四節気との違いは?

日本の季節を語る上で重要なのが二十四節気ですが、こちらの二十四節気をより詳しく調べてみると、七十二候という言葉が必ず出てきます。

今回はこの七十二候とはいったい何なのか、意味や由来と二十四節気との違いはどうなっているのか、暦との関係性についても詳しく調べてまいります。

七十二候を季節ごとに分類するとどうなるのかも記載いたしますので、とりあえずどうなっているのかを確認したいという方にも役立ちます。

 

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七十二候とは何?意味や由来は?

七十二候とは、だいたい15日で一区切りとなっている二十四節気を、約5日ずつで3分割したものです。

この3分割の仕方は初候次候末候と分けていくのが基本であり、それぞれの時期に名前が付いています。

つまり、二十四節気と七十二候はセットになっているということです。

もともと二十四節気は春秋戦国時代の中国、つまり紀元前700年から200年の中国で作られた暦であり、古代中国の気候に合わせて作られた、農業の目安として用いられていました。

つまり、日本向けに作られたものではないので、季節感的なズレや表現への違和感を覚えることがあるということです。

当時の日本、平安時代の日本では画期的な暦だったので、平安時代の日本に取り入られました。

このズレや違和感を消すために、江戸時代の暦学者である渋川春海などが大幅に回収して、明治時代に出版された「略本暦」向けにもさらに回収が加えられています。

つまり、日本向けに作られた七十二候と、中国で扱われている七十二候の2種類が存在しているということなので、ここでは日本向けに改修された七十二候をベースに勉強していきましょう。

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七十二候の意味とは

七十二候は古代中国で作られた二十四節気をより細かくして、季節の変化をより細かく把握するためのものです。

先ほど記載したように、中国向けの七十二候と日本向けの七十二候は、大きなズレや違和感がありますので、日本向けの七十二候が用意されているのです。

中国向けの七十二候と日本向けの七十二候は、季節感の違いもあります。

日本向けの七十二候は、季節の美しさをより強調して風情を感じられるようなものが並んでいるのですが、中国向けのものは多少残酷かつ弱肉強食を感じさせるものが多いのが違いといえるでしょう。

また、作られた年代の違いもあるので、中国向けの七十二候は古代中国で様々なところで用いられてきた陰陽思想が、多数ちりばめられているという傾向があります。

日本向けの七十二候は、江戸時代や明治時代に改修しているので、陰陽思想がかなり薄れて季節や風情を感じられる現代人に馴染みやすいものになっているのです。

暦との関係について

七十二候は、その時の季節感を漢字3文字や4文字で表現しているものであり、その時期にはどのような気候や環境になるのかが、一般的なのかが見えてくるように設定されています。

つまり、その時期はどのような季節なのかを表しているものなので、その日がよりどうなっているのかを表現してくれる暦のサポートツールといえるでしょう。

七十二候を季節毎に分類すると

それでは具体的に七十二候とはどのようなものなのか、季節ごとに区分けして紹介してまいりましょう。

七十二候すべて紹介するので、かなりの数になります。

春 2月~5月

二十四節気における春とは立春から始まって雨水→啓蟄→春分→清明→穀雨と6つの節気が終わるまでです。

現代の暦では2月4日頃から5月4日頃までが該当します。

基本的に二十四節気は6つの節気で分けられていますので、このスパンを覚えておきましょう。

そして、この節気一つ一つに3つの七十二候が割り当てられています。

立春の七十二候は、東風解凍(はるかぜこおりをとく)⇒ 黄鴬睍睆(うぐいすなく)⇒ 魚上氷(うおこおりをいずる)の3つです。

東風解凍は春風が川や湖の氷を解かすという意味があり、黄鴬睍睆は春の訪れを告げる鶯が鳴き始めるという意味があり、魚上氷は氷が割れて魚が飛び跳ねるという意味があります。

雨水は、土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)⇒ 霞始靆(かすみはじめてたなびく)⇒ 草木萌動(そうもくめばえいずる)の3つです。

土脉潤起は雪が亡くなって春の雨が訪れるようになり大地が潤うという意味で、霞始靆は霞がたなびき始めるという意味で、草木萌動は草木が芽吹き始めるという意味があります。

啓蟄は、蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)⇒ 桃始笑(ももはじめてさく)⇒ 菜虫化蝶(なむしちょうとなる)の3つです。

蟄虫啓戸は冬ごもりしていた虫が出始めるという意味で、桃始笑は桃の花が咲き始めるという意味があり、菜虫化蝶は青虫が紋白蝶になるという意味があります。

春分は、雀始巣(すずめはじめてすくう)⇒ 桜始開(さくらはじめてひらく)⇒ 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)の3つです。

雀始巣は雀が巣をつくり始める時期という意味で、桜始開は桜の花が咲き始める時期という意味で、雷乃発声は春の訪れを告げる雷が鳴り始めるという意味です。

清明は、玄鳥至(つばめきたる)⇒ 鴻雁北(こうがんかえる)⇒ 虹始見(にじはじめてあらわる)の3つです。

玄鳥至は燕がやってくるという意味で、鴻雁北は雁という鳥が北に帰るという意味で、虹始見は虹が見えるようになるという意味です。

穀雨は、葭始生(あしはじめてしょうず)⇒ 霜止出苗(しもやみてなえいずる)⇒ 牡丹華(ぼたんはなさく)の3つです。

葭始生は水辺に葦が芽吹くという意味で、霜止出苗は霜がなくなって稲の苗が生長するという意味があり、牡丹華は牡丹の花が咲くという意味があります。

夏 5月~8月

二十四節気における夏は立夏→小満→芒種→夏至→小暑→大暑と移り変わり、5月5日頃から8月6日頃までが該当します。

立夏は、蛙始鳴(かわずはじめてなく)⇒ 蚯蚓出(みみずいずる)⇒ 竹笋生(たけのこしょうず)が七十二候です。

蛙始鳴はカエルが鳴き始めるという意味で、蚯蚓出は蚯蚓が出始めるころという意味で、竹笋生はタケノコが出てくるころとなります。

小満は、蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)⇒ 紅花栄(べにばなさかう)⇒ 麦秋至(むぎのときいたる)が七十二候です。

蚕起食桑は蚕が桑の葉を食べるころという意味で、紅花栄は紅花の花が咲きほこる頃という意味で、麦秋至は麦の穂が実り始めるころという意味です。

芒種は、蟷螂生(かまきりしょうず)⇒ 腐草為螢(くされたるくさほたるとなる)⇒梅子黄(うめのみきばむ)が七十二候です。

蟷螂生はカマキリの卵がかえるころという意味で、腐草為螢は蛍が舞い始めるころで、梅子黄は梅の実が黄色になることです。

夏至は、乃東枯(なつかれくさかるる)⇒ 菖蒲華(あやめはなさく)⇒ 半夏生(はんげしょうず)が七十二候です。

乃東枯は夏枯草が枯れる時期という意味で、菖蒲華はアヤメの花が咲き始めるという意味で、半夏生は烏柄杓が生えるという意味です。

小暑は、温風至(あつかぜいたる)⇒ 蓮始開(はすはじめてひらく)⇒ 鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす)が七十二候です。

温風至は熱い風が吹き始めるという意味で、蓮始開はハスの花が咲き始めるという意味で、鷹乃学習は鷹の子供が飛べるようになるという意味です。

大暑は、桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)⇒ 土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)⇒ 大雨時行(たいうときどきふる)が七十二候です。

桐始結花は桐の花が咲いて実を結び始める時期という意味で、土潤溽暑は土が湿って蒸し暑くなる時期という意味で、大雨時行は時々大雨が降るようになるという意味です。

秋 8月~11月

秋の二十四節気は立秋→処暑→白露→秋分→寒露→霜降となっており、8月7日頃から11月6日頃が該当します。

立秋は、涼風至(すずかぜいたる)⇒ 寒蝉鳴(ひぐらしなく)⇒ 蒙霧升降(ふかききりまとう)です。

涼風至は涼しい風が吹き始めるという意味で、寒蝉鳴はひぐらしが鳴き始めるころという意味で、蒙霧升降は霧が深くなるころという意味です。

処暑は、綿柎開(わたのはなしべひらく)⇒ 天地始粛(てんちはじめてさむし)⇒禾乃登(こくものすなわちみのる)が七十二候です。

綿柎開は綿を包むガクが開く時期という意味で、天地始粛は天地の暑さが収まってくるという意味で、禾乃登は稲が実り始めて穂を垂らす頃という意味です。

白露の七十二候は、草露白(くさのつゆしろし)⇒ 鶺鴒鳴(せきれいなく)⇒ 玄鳥去(つばめさる)です。

草露白は草に降りた霜が白く光っているころという意味で、鶺鴒鳴はせきれいという鳥が鳴くころという意味で、玄鳥去は燕が子育てが終わって南に帰るころという意味になります。

秋分は、雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)⇒ 蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)⇒ 水始涸(みずはじめてかるる)です。

雷乃収声は雷が鳴らなくなる時期という意味で、蟄虫坏戸は虫が土に潜るころという意味で、水始涸は田んぼの水抜きをして稲刈りの準備が始まるという意味です。

寒露は、鴻雁来(こうがんきたる)⇒ 菊花開(きくのはなひらく)⇒ 蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)が七十二候です。

鴻雁来は雁という鳥が渡ってくるころという意味で、菊花開は菊の花が咲くころとなり、蟋蟀在戸はキリギリスやコオロギが鳴くころとなります。

霜降は、霜始降花(しもはじめてふる)⇒ 霎時施(こさめときどきふる)⇒ 楓蔦黄(もみじつたきばむ)です。

霜始降花は霜が降り始める時期という意味で、霎時施は小雨や時雨が降るころという意味で、楓蔦黄は楓や蔦の葉が色づくころとなります。

冬 11月~2月

二十四節気における冬は、立冬→小雪→大雪→冬至→小寒→大寒で、11月7日頃から2月3日頃までが該当します。

立冬山茶始開(つばきはじめてひらく)⇒ 地始凍(ちはじめてこおる)⇒ 金盞香(きんせんかさく)です。

山茶始開は山茶花が咲き始めるころという意味で、地始凍は大地が凍り始めるという意味で、金盞香は金の盃に見立てられている水仙の花が咲くころとなります。

小雪は、虹蔵不見(にじかくれてみえず)⇒ 朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)⇒ 橘始黄(たちばなはじめてきばむ)です。

虹蔵不見は虹が見れなくなる時期という意味で、朔風払葉は北風によって木の葉が吹き払われる頃となり、橘始黄は橘の実が黄色く色づく頃となります。

大雪は、閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)⇒ 熊蟄穴(くまあなにこもる)⇒ 鱖魚群(さけのうおむらがる)です。

閉塞成冬は空が閉ざされて冬になるという意味で、熊蟄穴はクマが冬ごもりをするという意味で、鱖魚群は鮭が群れとなって川を上るという意味になります。

冬至は、乃東生(なつかれくさしょうず)⇒ 麋角解(さわしかのつのおつる)⇒ 雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)です。

乃東生はうつぼ草に該当する夏枯草が芽を出す頃という意味で、麋角解は鹿の角が生え変わるために落ちるころという意味で、雪下出麦は雪の下にある芽が出てくるころとなります。

小寒は、芹乃栄(せりすなわちさかう)⇒ 水泉動(しみずあたたかをふくむ)⇒ 雉始雊(きじはじめてなく)となっています。

芹乃栄は春の七草にある芹が育つ頃という意味で、水泉動は地中で凍った泉が動く頃という意味で、雉始雊は雉が鳴き始めるころとなります。

大寒は、款冬華(ふきのはなさく)⇒ 水沢腹堅(さわみずこおりつめる)⇒ 鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)となっています。

款冬華は雪の下からフキノトウが出てくるころという意味で、水沢腹堅は沢に厚い氷ができるころで、鶏始乳は鶏が卵を産み始めるころとなります。

七十二候に関連行事や食べ物は?

日本では秋分や春分や冬至といった二十四節気の始まりのタイミングで、行われるイベントはいくつかありますが、七十二候にまつわる行事で有名なものはあまりありません。

日本では七十二候に合わせたイベントよりも、八十八夜節分といった雑節におけるイベントのほうが重要視されています。

また、関連する食べ物はいくつかあります。

竹笋生の場合はタケノコ料理が出てきますし、鱖魚群ならば鮭がおいしい季節となるでしょう。

まとめ

以上、いかがだったでしょうか。

今回は七十二候についての情報をまとめました。

日本風に解釈された七十二候ならば、日本人にとっても馴染みやすいものとなっていますので、使い勝手が良く感じるでしょう。

しかし、現代人にとって二十四節気もなじみが薄いですし、七十二候となると聞いたことがないものがほとんどだと思いますので、馴染むためには少しずつ気に入ったフレーズを見つけるしかないでしょう。

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