啓蟄の意味や由来と読み方は? 令和7年(2025年)はいつ?

現在の日本は新暦が採用されていますが、カレンダーを見ると旧暦に使われていた『立春』や『大寒』などが記されていることがありますよね。

また、今もなお、『春分』や『秋分』、『夏至』や『冬至』という言葉もよく見聞きします。

これらは二十四節気と呼ばれるもので、季節を表す言葉として使われていました。

それでは、『啓蟄』はどうでしょうか。

見たことも聞いたこともないという方が多いかも知れません。

中には読み方すらわからないという方もいるでしょう。

啓蟄も二十四節気の一つなのですが、春分などに比べるといまいち知名度は低いと思われます。

そこで今回は、啓蟄の意味や由来、読み方を始め、その時期の食べ物や風習などをご紹介したいと思います。

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令和7年(2025年)の啓蟄はいつ?読み方は?

啓蟄は、けいちつと読みます。

国立天文台が発表している令和7年(2025年)の暦要項によると、その年の啓蟄は3月5となっています。

なお、啓蟄のように旧暦における季節の呼び方を節気と言いますが、啓蟄の次の節気である春分が3月20日となっていることから、啓蟄は3月5日から3月19日までの期間を示すこともあります。

3月の上旬から中旬と言えば、日本全国で桜が咲き始め、各地の満開予想がニュースで伝えられる頃ですよね。

そのような、春めいた季節は昔は啓蟄と呼んでいたのです。

啓蟄の由来と意味は?

啓蟄は、二十四節気の中で春に区分される節気の一つです。

春の節気には、立春雨水、啓蟄、春分清明穀雨の6つがありますが、啓蟄は3番目の節気となります。

二十四節気は、太陽が1年かけて移動する天球上の道を黄道とし、黄道を24等分したものを言います。

まずは黄道を夏至と冬至で2等分し、さらに春分と秋分で4等分した後、それぞれの中間に立春、立夏、立秋、立冬の四立を入れます。

そして、そこから3等分すると、合計で24つの節気ができるので、これらを合わせて二十四節気と呼んでいます。

二十四節気は、当時多くの人が従事していた農業を行う上で、一年の天候のおおよその目安が付けられるため、日本でも使われていた暦の求め方です。

これにより、人々は「もうすぐ春が来る」とか「冬に備えて準備をしよう」と生活を見通すことができていました。

現代は太陽暦が採用され、二十四節気で季節を知ることはなくなってしまいましたが、今でもニュースなどでは「暦の上では立春です」など、季節を告げる言葉をして親しまれています。

なお、啓蟄には「土の中から虫が這い出てくる」という意味があります。

啓は開く、蟄は閉じこもるや隠れるなどの意味があることから、春になり暖かくなってくると虫が冬眠から目覚めて動き出すという意味になるようです。

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啓蟄の候の意味と使い方は?いつからいつまで使えるの?

啓蟄の候は、『けいちつのこう』と読みます。

いわゆる、時候の挨拶として使用する言葉で、手紙などの冒頭に「謹啓、啓蟄の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」のように使います。

啓蟄は、雨水と春分の間にある節気で春を表す言葉になるため、啓蟄の候を使うのも当然春になるのですが、節気による挨拶には使用できる期間が存在し、啓蟄の場合は啓蟄から次の節気である春分までとなります。

啓蟄は例年3月5~6日頃、2023年春分は3月21日となっているので、この間の期間であれば啓蟄の候を使うことができます。

このような時候の挨拶は、現代の日本では親しい友人と交わすことがほとんどなくなったと言えますが、一方でビジネスの世界などでは使用されることが少なくありません。

お世話になった方や重要な取引先が相手の場合、間違った使い方をしていると「常識がない」と受け取られてしまうこともあるため、啓蟄の候が使える期間については十分注意をして下さい。

啓蟄の時期の旬な食べ物は?

啓蟄は、全国からちらほらと桜の便りが届けられる時期。

立春や雨水の時には感じにくかった春らしさも、いよいよ本番と言った感じになります。

春の食べ物と言われて思い出すのは山菜ではないでしょうか。

啓蟄の時期には、たけのこを始め、わらびやぜんまいなどが旬を迎えます。

また、新玉ねぎの出荷が始まるのも啓蟄の時期くらいからと言われています。

その他に、いちごや八朔(はっさく)など、瑞々しい果物が店頭に並ぶのもこの時期からなので、スーパーに行って春を告げる食べ物が並び始めると、啓蟄という節気の意味をより強く感じることができるかも知れません。

啓蟄の時期の代表的な風習とは

啓蟄に行われる伝統的な行事には、菰外し(こもはずし)があります。

お城や日本庭園などにある松の木に、わらのようなものを括っているのを見かけたことがないでしょうか。

これが菰です。

菰は、冬の寒い間に木を冷害から守るために巻いていると思っている方が多いですが、実は違います。

菰は松の天敵である、マツカレハという蛾の幼虫から木を守るために巻いています。

啓蟄の時期に合わせてこの菰を外し、幼虫ごと菰を燃やして害虫駆除を行うのが菰外しの目的でした。

しかし、その後の調べにより、菰にはマツカレハの幼虫よりも、マツカレハの敵となるヤニサシガメがたくさん集まっていることがわかりました。

つまり、菰を巻いてもマツカレハの駆除とはならないのです。

そのため、皇居内の松でも行われていた菰外しは今は行われていませんが、お城や日本庭園などでは今でも季節の風物詩として菰外しを行っているところもあるようです。

また、3月に行われる大きな行事に雛祭りがありますが、雛人形を飾りっぱなしにしているとその家の娘の婚期が遅れる、とよく言いますよね。

雛人形をしまうのは、啓蟄までに行うとよいと言われています。

雛祭りから2~3日しかないためかなり慌ただしくなるのが予想されますが、娘さんに早く結婚してもらいたい親御さんは、啓蟄までに雛人形を片付けるようにしましょう。

啓蟄の時期の花は何?

まだ寒く雪が残る時期から咲く梅に、毎年多くの人が花見に訪れる、春の風物詩の桜の間に咲くのが桃の花です。

桜と同様に鮮やかなピンク色をしていて、その美しさは桜にも引けを取らないほど。

春の花として有名なのは桜ですが、桃も弥生時代から日本にあったことがわかっており、古くから愛されている花の一種です。

また、同時期によく見られる花に菜の花があります。

菜の花はアブラナ属の植物で、油の原料となるだけではなく、春の訪れを感じさせる食べ物としても知られていますよね。

さらに、すみれもこの時期に咲く花となっています。

あまり知られていませんが、すみれは山菜としてお浸しや天ぷらなどにして食べることができます。

ただし、すみれは100種類以上あり、中には毒のある種類もあることから、自己判断で食用にするのは控えましょう。

まとめ

啓蟄は二十四節気の一つで、立春や春分に比べると知名度が低いものの、調べてみると、寒かった冬が終わりを告げ、野の花や虫が暖かさに導かれるように顔を出す、そんな麗らかな季節を想像することができます。

昔の人は今のように明確に季節感を捉えることができなかったため、節気によって田植えや収穫の時期の目安としていたと言われています。

令和7年(2025年)の啓蟄は3月5日となっているので、これまであまり意識したことがなかったという方も、来年は啓蟄に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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