10月のカレンダーに『霜降』と書いてあるのを見たことはないでしょうか。
そのままだと“しもふり”と読めることから、サシが入った高級肉を思い浮かべてしまいますが、カレンダーに書かれてあるのはその霜降ではありません。
では、霜降にはどのような意味があるのでしょうか。
そこで今回は、霜降について調べてみました。
霜降の由来や読み方、旬の食べ物はもちろんのこと、霜降の候の使い方もご紹介したいと思います。
【霜降】2023年はいつ?読み方は?
2023年の霜降は10月24日となっています。
詳しくは後述していますが、日本では中国から伝わった二十四節気という季節を表す言葉によって、農作物の種まきや収穫の目安をつけていて、霜降は秋の名称(節気)となっています。
秋の節気には立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降と6つあるのですが、秋の入り口である立秋や処暑の時には秋というよりもまだまだ夏を感じるため、節気と実際の気候に随分と差を感じるものですが、霜降になるとすっかりと秋の深まりを感じられるようになります。
なお、節気はその日一日を指す以外にも、次の節気までの期間を示すこともあります。
霜降の場合、次の節気は冬の始まりを表す立冬となっていて、2023年の立冬は11月8日なので、10月24日から11月7日までの15日間を霜降とすることもあります。
霜降の由来や意味
書いて字の如く、霜が降りてくる時期を表しており、しもふりではなく『そうこう』と読みます。
二十四節気は中国から伝わった季節の名称を表すもので、よく聞く言葉には夏至や冬至、春分、秋分などがあります。
太陽の天球上の運行(黄道)を24等分にし、それぞれの季節の分かれ目を節とすることから、霜降を始め夏至や冬至などは節気と呼ばれます。
つまり、二十四節気は24つの節気を表したものというわけです。
夏至が一年で最も昼が長い日、冬至が一年で最も夜が長い日というのは、理科の授業で習った記憶がある人も多いと思いますが、これは太陽の角度が関係していますよね。
夏至の場合であれば90度、冬至なら270度の位置を太陽が通る(黄径)ことになります。
二十四節気では、まずこの夏至と冬至によって季節を分け(二至)、さらに昼と夜の長さが同じ春分と秋分に分けて(二分)春夏秋冬(四季)を決めています。
ちなみに春分の太陽黄径は0度、秋分は180度となっています。
そして、春、夏、秋、冬に入る日を立春、立夏、立秋、立冬(四立)とし、これらを合わせて八節と呼んで二十四節気を決める基本としています。
『霜降の候』の使い方と意味は?いつからいつまで使えるの?
霜降の候は、手紙やはがきなどを送る時に使う時候の挨拶です。
使い方としては、『拝啓 霜降の候 貴社におかれましてはますますご清祥のことと存じます』のように冒頭の文章に入れます。
また霜降は、秋が深まり、草木についた露が凍るほど気温が下がる時期を指しているため、直接、霜降の候を使わずに、『拝啓 暦の上では霜降を迎え、野山もすっかり秋めいてきましたが、いかがお過ごしでしょうか。』のように使うこともできます。
上の例文はビジネスシーンや恩師などへの手紙に、下の例文はそれよりももう少し砕けた関係と言える友人や知人に送る手紙に使えるのではないかと思います。
ただし、どちらに送るにしても時候の挨拶を使える期間については、しっかりと把握しておく必要があります。
霜降の候は、当然ながら霜降の期間のみにしか使うことができません。
2023年であれば、10月24日から11月7日に相手に届く手紙において使うことができます。
11月8日以降は立冬になるので、時候の挨拶も『立冬の候』に代わりますので、手紙やはがきが届く日付に十分注意して、その時期に適した言葉を選ぶようにしましょう。
霜降の頃に食べる旬な食べ物は?
食欲の秋と言われるほど、秋は美味しいものがたくさんある幸せな季節になりますが、中でも秋の味覚として有名なのがさつまいもではないでしょうか。
しかし実は、さつまいもは8月から収穫が始まる品種もあります。
『それならさつまいもの本当の旬は夏なのでは?』と思いますよね?
それが、さつまいもやかぼちゃ、じゃがいものなど糖分を多く含む野菜は、必ずしも採りたてが美味しいわけではなく、収穫後に数ヵ月寝かせることで甘味が増し、美味しくなる場合があります。
そのため、さつまいもの旬は夏ではなく、8月の収穫から2~3ヵ月後の10~11月となるわけです。
(品種によっては11月から収穫が始まるものもあり、その場合は1月に旬を迎えます)
秋になり気温が下がってくると、運動をする機会が減って便秘になりやすくなる人もいますが、食物繊維が豊富なさつまいもは腸の調子を整えてお通じを改善してくれるので、秋に食べるのがよいと言われています。
ただし、秋はさつまいもの他にも、落花生や小豆、きのこ類、梨やぶどう、柿などの果物なども一斉に旬を迎える時期となっているので、食べ過ぎに注意をしながら過ごすのは必須と言えそうです。
霜降の頃の代表的なイベントや風習は?
霜降の時期に昔から行われていた風習などはないようですが、よく聞くものに『木枯らし一号』があります。
木枯らし一号は、季節が秋から冬に変わる時期に吹く、毎秒8メートル以上の北よりの強い風のことを言います。
天気予報などで、『本日、木枯らし一号が吹きました』などと耳にしたことがあると思いますが、一般的には霜降から立冬の間に吹く上記の風のことを言います。
木枯らし一号が吹くと、気圧配置が冬型へと代わり、これからどんどんと寒くなるということを示唆しています。
なお、木枯らし一号は関東と近畿地方でしか発表がなく、北海道や東北、九州などの地方在住の方は聞いたことがないかも知れません。
これは、平野部が多い地方で木枯らし一号が吹くと、災害になる可能性が高いことが理由のようです。
また、一号があるなら二号や三号もあるの?と思ってしまいますが、台風のように上陸回数によって号数が上がることもなく、木枯らしは一号のみとなっています。
霜降の頃の季節の花は?
霜降の時期に咲く花に、紫式部があります。
紫式部と言えば源氏物語の作者として有名ですが、この花の由来もそこからと言われており、成熟した果実が鮮やかな紫色になり枝にびっしりと成ることから、紫敷き実が転じて紫式部となったという説があります。
また、二十四節気をさらに細かく季節に分けた七十二候によると、霜降は『楓蔦黄(もみじつたきばむ)』(末候)となっています。
これは文字通り、もみじや蔦が赤や黄色に色づくことを表しているので、秋のレジャーとして紅葉狩りを行うには霜降の時期はうってつけと言えるでしょう。
その他には、秋の桜と書くコスモスも霜降の時期が見ごろとなります。
まとめ
2023年の霜降は10月24日となっています。
また、霜降などの節気はその日のみを指す場合もあれば、次の節気までの期間を示すこともあり、霜降であれば次の節気である立冬(11月8日)までの、10月24日から11月7日を指すこともあります。
霜降は秋の最後の節気であり、朝晩の冷え込みにより草木に霜が降りる時期のことを言います。
特に代表的な風習はないですが、関東や近畿地方では北よりの風が吹くとそれを『木枯らし一号』とし、気圧配置が変わって、これから本格的な冬がやってくる目安としています。
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