日本においてもかなり有名な二十四節気の一つが冬至です。
しかし冬至ならではの風習については、昔よりも馴染みが薄くなっているのが実状です。
今回は二十四節気における冬至とはどのような意味や由来があるのか、具体的にいつからいつまでが冬至になるのでしょうか。
また冬至の時期に行われていた風習やイベントについてもご紹介いたします。
二十四節気に馴染みがないという人でも、その時期に行われているイベントと結びつけられれば直ぐに覚えられます。
冬至の意味
冬至とは太陽の位置を表す黄経が、270度から285度の間のシーズンのことで、冬を意味する二十四節気の一つです。
冬を表す二十四節気は立冬⇒小雪⇒大雪⇒冬至⇒小寒⇒大寒という順番で移り変わりますので、冬の4番目の節季と言えるでしょう。
冬至とは、北半球で昼の時間が最も短くなる日として用いることが現代日本では多く、『太陽の位置を表す黄経が、270度から285度の間のシーズン』という意味では使っている人はあまりいないと思います。
ちなみに冬至になると太陽が最も南よりの東から登って南寄りの西に沈む日にもなりますので、日本では最も低い太陽高度での移動を見られる時期にもなります。
また、春分・夏至・秋分・冬至はそれぞれの季節の中心としての役割があり、1年を4等分した時の中心点でもあります。
つまり、春分は春真っ盛りという意味がありますので、冬至は冬の真っ盛りという意味があります。
太陽黄径では春分が0度、夏至が90度、秋分が180度、冬至が270度になったときとなっているので、二十四節気を覚える場合はこの『二至二分』を覚えるとやりやすいでしょう。
太陽黄径
二十四節気を理解する上で避けられないのが『太陽黄径』という言葉です。
これは『太陽が1年かけて1周するように見える移動経路を『黄道』として、その『黄道』を春分が始まる地点を0度として360度に分けたもの』となっており、だいたい1日で1度移動しています。
厳密には1年は365日なので、1日で『360度÷365日=0.986度』移動することになります。
基本的に地球が太陽の周りを回っているのですが、地球から見るとあたかも太陽が移動しているように見えます。
その移動経路を『黄道』として考えているのが、二十四節気の考え方の基本となるのです。
この0度となる地点というのは、地球の赤道をそのまま延長した『天の赤道』と『黄道』が交わった点の一つであり、『春分点』となるのです。
180度反対側にある交点が『秋分点』となります。
今回の話である冬至と結びつけると、春分点から270度太陽が移動した点が冬至のスタート地点となります。
2023年の冬至はいつ?
2023年の冬至は12月22日12時27分から始まり、2024年1月6日5時49分に終わります。
基本的に明確な二十四節気の区切りを見たい場合は、こちらの国立天文台のホームページである『令和 5年(2023)暦要項 二十四節気および雑節』をご覧ください。
参考記事
こちらを見るとわかるように、冬至はお正月をまたぎ2024年まで続きますので注意しましょう。
日本人の場合はシーズンとしてではなく、昼が最も短くなる日である12月22日に注目することが多いので、そちらで覚えている人の方が多いでしょう。
筆者の個人的な感想ですが、クリスマスやお正月がある時期が冬至となりますので、非常にインパクトがある時期とも言えると思います。
特に目立ったイベントや風習がない二十四節気と比べると圧倒的に覚えやすいです。
冬至における七十二候は?
二十四節気はだいたい15日区切りとなっていますが、それを3分割して5日区切りにしたものが七十二候です。
この七十二候は初候・次候・末候の3つがありますが、古代中国と日本の季節感がマッチしないことがあります。
その事から、実は日本向けの『略本暦』というものが用意されているのです。
この『略本暦』は江戸時代に作られたものではありますが、日本向けなのでよりイメージがしやすいでしょう。
ちなみに、古代中国で用いてた二十四節気向けの七十二候は、『宣明暦』となります。
ここでは両方とも紹介しますので比較も行っていきましょう。
一部の『略本暦』は、『宣明暦』から変更していない七十二候もあります。
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冬至における『初候』
における『初候』は以下の通りです。
略本暦(日本):乃東生(なつかれくさしょうず)⇒夏枯草が芽をだす
宣明暦(中国):蚯蚓結(きゅういんむすぶ)⇒ミミズが地中で塊となる
ここでいう『夏枯草』というのはいわゆるウツボグサのことで、ウツボグサは夏になって花が終わると黒っぽくなるという特徴があり、冬の時期に芽が出始めます。
冬至における『次候』
における『次候』は以下の通りです。
略本暦(日本)と宣明暦(中国):麋角解(さわしかのつのおる)⇒大鹿が角を落とす
こちらは略本暦と宣明暦で同じ七十二候を使っています。
意味は大鹿のツノが落ちて生え変わる時期となっているのです。
現代日本では鹿の角の生え替わりを直に見たことがあるという人は少ないので、この七十二候では季節感がなかなか得られないでしょう。
実際に日本でよく見られるような鹿は3月頃になると生え替わるので、この七十二候とはマッチしていないという意見もあります。
冬至における『末候』
における『末候』は以下の通りです。
略本暦(日本):雪下出麦(ゆきわりてむぎのびる)⇒雪の下で麦が芽を出す
宣明暦(中国):水泉動(すいせんうごく)⇒地中で凍った泉が動き始める
こちらは略本暦と宣明暦が異なります。
略本暦では雪の下の麦が芽を出すシーズンというわかりやすい表現で、宣明暦では地中で凍っていた泉が溶けて動き出すという意味になります。
12月下旬は確かに寒いですが、本格的に寒くなるのは1月と2月なのでこの表現は日本ではあまり当てはまらないと言えるでしょう。
冬至の時期の風習やイベントは?
2023年の冬至は、12月22日から2024年1月5日までとのことでした。
この時期はクリスマスやお正月があるので、それらのイメージが圧倒的に強いでしょう。
ここでは超メジャーなこの2つ以外の風習やイベントを探っていきます。
カボチャを含めた『ん』がつく食べる
冬至の風習として有名なのがカボチャを食べるという風習でしょう。
冬至は運気が上がる『ん』がつく食べ物を食べるという特殊な風習があります。
カボチャは漢字にすると『南瓜』となり、これを『なんきん』という意味で受け取って縁起の良い食べ物と見立てているのです。
この『ん』がつく食べ物を食べるという風習で、特に意識されていたのが2回『ん』が付く食べ物です。
具体的にはなんきん・きんかん・ぎんなん・かんてん・れんこん・にんじんなどが該当します。
うどんも、『うんどん』と表現することがあったようでこのカテゴリーにはいっているようです。
ゆず湯に入る
江戸時代から始まった風習ですが、冬至にゆず湯に入れば風邪をひかないという考え方があったのです。
今でもその名残があるので、冬至にはゆず湯に入るべきと推奨している人もいます。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回は二十四節気の一つである冬至について紹介しました。
冬至は一番昼が短くなるタイミングでもありますが、クリスマスやお正月もある時期なので非常に忙しい時期に該当する二十四節気でもあります。
色々と忙しくて、冬至そのものの風習を楽しめていないという人もいると思いますが、ゆず湯といった有名な風習もありますので、そちらも楽しんでもらいたいと思います。
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