秋分や春分といった有名な二十四節気はとても浸透していますが、それ以外の二十四節気は普段使われることもかなり少なくなってしまいました。
その言葉に遭遇した時に、「何これ?」となってしまうことがしばしばあります。
今回は二十四節気において、ちょっとマイナーになりつつある『小雪』とは何かを解説し、意味や由来はどうなっているのか、2023年だと一体何時になるのかを記載して参ります。
そして、『二十四節気』とはどのような考え方で成り立っているのかも、ご紹介します。
小雪の意味は?
小雪とは二十四節気における冬の節季の一つで、太陽の位置を表す黄経が240度から255度の間のシーズンとなります。
二十四節気の冬の節季は、立冬⇒小雪⇒大雪⇒冬至⇒小寒⇒大寒となっておりますので、2番目の冬の節季となります。
『小雪』という言葉の意味は『雪が降り始める時期』となりますので、日本でも季節感にだいたいマッチしている二十四節気と言えます(二十四節気は古代中国の気候にあわせているので、日本の気候にマッチしていない表現もある)。
二十四節気を江戸時代に解説している『暦便覧』によると、小雪は「冷ゆるがゆえに、雨も雪となりてくだるがゆえなり」と表現しており、雨ではなく雪に切り替わるシーズンであると表現しています。
かなりわかりやすい解説です。
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太陽の位置を表す『黄経』とは?
出だしで太陽の位置を表す黄経という表現をしましたが、この『黄径』とは何かを疑問に抱いた人も多いでしょう。
詳しく解説すると、太陽黄経とは太陽の移動経路である『黄道』の春分が始まる地点を0度として、360度に分けたものとなります。
ここからは頭でイメージしてもらいたいのですが、地球の赤道をそのまま延長した『天の赤道』と、太陽の移動経路である『黄道』が交わる2つの点をまずは想像してください。
この交点のうち南から北へ交わる点が『春分点』で、もう一つの交点が『秋分点』となり、春分が始まる地点を0度としているのです。
先ほど小雪は太陽の位置を表す黄経が、240度から255度の間と解説しましたが、このように二十四節気は360度を24分割、つまり15度ずつで計算しており15度を過ぎたタイミングで、二十四節気も切り替わります。
そのため、星の動きと密接な関係にあり日本における二十四節気の切り替わりタイミングは国立天文台が大々的な発表をしているのです。
国立天文台を見ると、二十四節気の切り替わるタイミングはいつかも簡単にわかります。
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2023年の小雪はいつ?
2023年の小雪は、11月22日23時03分から12月7日18時33分までです。
これは国立天文台発表『令和 3年(2021)暦要項 二十四節気および雑節 – 国立天文台暦計算室』というサイトに詳細が記載してありますので、こちらをご覧ください。
参考資料
11月の下旬から小雪になりますが、このタイミングならばなんとなく雪がちらつく時期でもありますので、イメージがしやすい二十四節気となっていると思います。
筆者の個人的な感想ですが、11月下旬は東北や北海道といった豪雪地帯では、どか雪が発生することもある時期なので、『小雪』と表現されても、『全然「小」じゃないじゃん!』と思ってしまうこともしばしばあります。
小雪における七十二候は?
『七十二候』とは、二十四節気をさらに三分割した期間の事であり、だいたい5日間が一つの候となります。
この候一つ一つにも季節を表す表現をされていますが、中国向けの表現ではあまりにもマッチしない時期もあったため、江戸時代に渋川春海ら暦学者によって日本向けに改訂された『略本暦』が日本では用いられているのです。
ちなみに、七十二候には古代中国から伝わったままのモノは、『宣明暦』として今でも残っています。
七十二候は初候・次候・末候の3つがありますので、小雪の初候・次候・末候の3つをここでは紹介いたします。
一応古代中国の『宣明暦』のモノも紹介いたしますので、こちらは『古代中国はこのような気候だったのか』という軽い気持ちで参照にしてください。
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小雪における『初候』
小雪における「初候」は以下の通りです。
略本暦(日本):虹蔵不見⇒虹を見かけなくなる
宣明暦(中国):虹蔵不見⇒虹を見かけなくなる
こちらは日本も中国も同じ七十二候となります。
11月下旬になると確かに虹が見られるのは稀となり、この表現もマッチしていると言えます。
小雪における『次候』
小雪における「次候」は以下の通りです。
略本暦(日本):朔風払葉⇒北風が木の葉を払い除ける
宣明暦(中国):天気上騰地気下降⇒天地の寒暖が逆になる
日本と中国の七十二候が次候では異なります。
言葉についてちょっと解説すると「朔」という言葉は「一日(ついたち)」という意味もありますが実は「北」という意味もありますので、「朔風」とは「北風」という意味になるのです。
もう少し日本風に解説すると木枯らしという表現にもなるでしょう。
小雪における『末候』
小雪における「末候」は以下の通りです。
略本暦(日本):橘始黄⇒橘の実が黄色になり始める
宣明暦(中国):閉塞而成冬⇒天地の気が塞がって冬となる
これもわかりやすい表現でしょう。
橘はミカン科ミカン属の常緑小高木で、柑橘類の一種で見たことがあるという人も多いでしょう。
パッと見てみかんに見えるので、橘の実を見たことがないと思っている人でも実は見たことがあるという人もいると思います。
昔から実より花や常緑の葉が注目されている植物ですが、基本的には四国・九州・沖縄などの海岸に近い山地に自生しているので、南に住んでいる方には馴染みのある花なのです。
小雪の時期にある風習やイベントは?
小雪は2023年だと11月22日~12月6日(大雪前日)までとのことでした。
この時期にはどのようなイベントがあるのでしょうか。
十日夜
十日夜はそこまで有名なモノではありませんが、旧暦10月10日の夜を表し地の神さまに感謝の気持ちを表現する特別な収穫祭をする日となっているのです。
ただし、旧暦の10月10日はその年によってかなり変わってくるので、2021年はたまたま小雪のタイミングになりました。
新嘗祭(にいなめさい)
今でも神社を中心に大規模な儀式が行われている新嘗祭は、小雪のタイミングで行われる最大規模の風習かつイベントと言えるでしょう。
毎年11月23日に、宮中三殿の近くにある神嘉殿で行われる宮中祭祀のひとつですが、伊勢神宮などの神社でも毎年行われていますので、毎年参加しているという人も多いでしょう。
ここ数年はコロナウイルスの影響を受けて、開催できなかったところが多かったのが残念です。
小雪になると新嘗祭があると覚えておくと、時期と結びつけやすくなるのでおすすめとなります。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回は二十四節気における小雪について解説しました。
新嘗祭は今でも神社で大規模な祭事として扱われているため、参加したことがある人にとっては、覚えやすい時期となります。
日本神話が好きという人は、天照大御神といった神々との繋がりが見える祭事ですので、掘り下げて調べることもおすすめします。
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