日本で現在使われているカレンダーは、新暦(太陽暦)を採用した1~12月の12か月を1年とするものですよね。
しかし、旧暦(太陰太陽暦)では月の満ち欠けや太陽の軌道を元にした二十四節気を併用して、一年の気候の移り変わりを知っていました。
二十四節気はあまり耳慣れないと思う人がいるかも知れませんが、『立春』や『春分』『夏至』などを季節を表す言葉として聞いたことがないでしょうか。
そして『芒種』(ぼうしゅ)も、立春などと同じ二十四節気の一つになります。
とは言え、芒種は立春など比べて知名度は低く、初めて聞いたという方も多いでしょう。
そこで今回は芒種について調べてみました。
意味や由来はもちろん、芒種の旬の食べ物や花などもご紹介したいと思います。
【芒種】2024年いつ?
2024年の芒種は6月5日13時10分となっています。
この日付は毎年決まっているわけではなく、年によって1日ほど前後します。
また、芒種はその日一日のみを指す場合もあれば、次の節気(夏至)までの期間を指すこともあります。
2024年であれば夏至は6月21日となっているので、6月5日から6月20日までを芒種と言うこともあります。
参考資料
芒種の由来や意味
芒種は『ぼうしゅ』と読みます。
あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、芒には稲や麦などの実の先にある針状の突起のことを言います。
そのため、芒種とはそのような稲や麦などの種をまくのにふさわしい時期、という意味になります。
芒種は二十四節気の一つで、夏の季節を表す言葉です。
夏の節気には、立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑の6つがあり、芒種は3番目の節気となります。
そもそも、二十四節気とは一年を24等分にして、それぞれに季節や気候にちなんだ言葉をつけたものです。
現在の新暦は太陽の運行を元に一年を決めていますが、昔は月の満ち欠けによって一年を決めていました。
しかし、それでは毎年少しずつズレが生じてしまい、農作業を行うにはとても不便だったので、そこに二十四節気を加えて、種まきに適した季節や収穫の時期などの目安としていました。
とは言え、現代の事情では必ずしも芒種の時期に種まきを行うわけではないようです。
それは稲や麦の品種改良によって、もっと早い時期に種まきを行うことが増えてきたからと言われています。
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芒種の季節感とは?
芒種は、稲や麦の種まきの季節を表したものということはわかりましたが、それだけではいまいち季節感が伝わらないですよね。
そのため、中国や日本では、二十四節気をさらに約5日ずつに分け、植物や虫の変化や気象の移り変わりを示した七十二候も活用していました。
そこでここでは、芒種の七十二候をご紹介したいと思います。
かまきりが卵から孵化する時期を記しています。
・次候(6月10日頃)「腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)」
蛍が光を放って飛び始める時期を記しています。
腐草と書くのは、昔は腐った草が蛍に生まれ変わると考えられていたからです。
・末候(6月15日頃)「梅子黄(うめのみきばむ)」
最初は青かった梅が熟して黄色に変わってくる時期を記しています。
七十二候を知ると、芒種の時期は虫が成長して飛び立つ様子や、食物の実が成熟していく様子が目に浮かびますよね。
このように、節気の季節感を知るには七十二候はとても役立つことがわかります。
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芒種の時期に食べる旬な食べ物は?
鮎は各漁協が6月1日以降に解禁日を決めています。
そのため、芒種の時期あたりは鮎の漁が行われているため、川には鮎釣りを目当てに多くの人がやって来ます。
また、芒種は梅の実が黄色になる時期と言われていますが、6月の上旬であればまだ青い梅の実がスーパーなどで売られていますよね。
青い実の梅は、梅酒を作るのに適しているため「今年は自家製の梅酒を作ってみたい」と言う方は、芒種の時期を見計らって梅を見に行くとよいでしょう。
なお、青い梅を買ってきたとしても自宅で放置していると、やがて黄色に変わってしまうので注意して下さい。
その他に、冷たいうどんやそうめんの薬味に欠かせない大葉や茗荷なども、芒種の時期が旬となります。
6月は梅雨に入る地域が多くなり、何となく気分が滅入ってしまう人もいますよね。
そのような時は、旬の食べ物にパワーをもらって、ジメジメとした気持ちを吹き飛ばしてみるのがよいでしょう。
芒種にある風習やイベントは?
芒種にちなんだ風習やイベントはないようですが、6月の第3日曜日には『父の日』がありますよね。
父の日は、母の日と同様にアメリカが発祥と言われています。
ソノラ・スマート・ドットという女性が、母の日があるなら父の日もあった方がよいと牧師協会に嘆願したことが始まりと言われています。
と言うのも、ソノラの父は軍人で、ソノラを含めた6人の子どもを残して現地に赴きました。
戦争の間、母は一人で6人の子どもを育てていましたが、戦争が終わって父が戻ると母は過労が原因で亡くなってしまったそうです。
その後、6人の子どもを一人で育てた父も、子どもが成人すると亡くなってしまいました。
ソノラはこのような経緯から、母親だけではなく父親に感謝をする日を作って欲しいとお願いしたと言われています。
また、こちらも芒種と関係ないのですが、能や歌舞伎などの伝統芸能は、6才の6月6日から始めると上達が早いと言われています。
これは、指を使って数を数えた時、小指が立つのが『6』であることから、『子が立つ』のが縁起がよいと言われているからです。
芒種の頃の季節の花は何?
6月の梅雨の時期に見ごろを迎える花と言えば、あじさいです。
あじさいはアジサイ科アジサイ属の植物で、原産国は東アジアと言われていますが、日本で一般的に見られるセイヨウアジサイは、元は日本が原産のガクアジサイを品種改良したものとなっています。
手毬のように丸みを帯びた形がヨーロッパで人気となり、やがて日本に逆輸入されるとその姿形が人気となり、全国各地に普及しました。
セイヨウアジサイは、青や紫の他、白やピンク、赤など様々な色があります。
また、日本の野山に自生し、秋の七草の一つとして知られている桔梗も、6月に開花のピークを迎える花です。
桔梗は古くから日本で親しまれていた花ですが、現在園芸店などで売られている桔梗は早咲きの品種となっており、本来の時期に開花を迎える原種はほとんど見かけなくなりました。
なお、道端などに自生している桔梗によく似たキキョウソウも、桔梗と同じく6月に開花のピークを迎えます。
まとめ
芒種には、稲や麦の種をまくのにふさわしい時期と言う意味があります。
また、かまきりや蛍が孵化して動き回る姿を見られたり、梅の実が青から黄色に熟すなど、春に生まれた命が成長をして一人前となるのも芒種の時期と言われています。
ちなみに、2024年の芒種は6月5日となっていますが、6月は梅雨入りの時期と言われており、外に出かけるのが億劫に感じる人も増えてきますが、見ごろとなっているアジサイを鑑賞したり、漁が解禁となる鮎を味わうなど楽しみも多い時期です。
さらに、6月は一年の半分の月、つまりは折り返しの月となります。
後半をどのように過ごすかなど、改めて計画を見なしてみるのもよいかも知れませんね。
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