春分や立春と比べると清明や穀雨といった春の二十四節気は非常に知名度が低く、聞いたことが無いという人も多いでしょう。
今回はそんな知名度があまりないと言われる穀雨について、由来やその言葉の意味、2023年ではいつになるのかをご紹介して参ります。
その時期にどんなイベントや行事があるのか、それを知ることで俄然イメージと結びつけやすくなります。
穀雨の意味
穀雨は春を表す二十四節気の一つで『こくう』と読みます(読み方もよくわからないという人も多いでしょう)。
春の二十四節気は 立春 ⇒ 雨水⇒ 啓蟄⇒ 春分 ⇒ 清明 ⇒ 穀雨 というサイクルで動きますので、春の6番目の二十四節気、つまりということもわかります。
より専門的な言葉を使うなら、太陽黄径が30度から45度になっているタイミングが、穀雨のシーズンと言えるのです。
『穀雨』という言葉は、『雨が様々な穀物を生じさせる時期』という意味で、春の雨が百穀を潤すシーズンと言われていたようです。
1787年に出版された暦の解説書である『暦便覧』には、穀雨は『雨降りて百穀を生化すれば也』と表現されており、農家にとっての種まきシーズンとして昔から表現されていたことがわかります。
太陽黄径とは何?
二十四節気を理解する上で必須となる知識の一つに、『太陽黄径』という言葉があります。
この言葉を短くかつわかりやすく表現すると、『太陽が1年かけて1周するように見える移動経路を『黄道』として、その『黄道』を春分が始まる地点を0度として360度に分けたもの』となります。
地球から見て地球の周りを移動している太陽の経路と、地球の赤道をそのまま広げていったモノに2つの交点が春分点と秋分点となります。
そして太陽が南から北に移動した考えられる始点が春分点で0度、北から南に移動したと考えられる始点が秋分点で180度という考え方をしています。
この角度の考え方と春分点の考え方を理解しておけば、二十四節気の仕組みもかなりわかりやすくなるのです。
先ほど穀雨は『太陽黄径が30度から45度になっているタイミング』という解説をしましたが、これは0度となっている春分点から太陽が30度に突入したタイミングから45度になるまでの間が、穀雨であるという意味になるのです。
ちなみに、二十四節気の間隔は一定で『 1年の長さ ÷ 24 ≒ 約15.2日 』という計算式が成り立ち、一つの節気はだいたい15日となっていることがわかります。
2023年の穀雨はいつ?
太陽の位置関係で決まる二十四節気は、星の位置がより明確に観測できるようになった現代では、何時何分まで簡単に割り出せるようになっています。
2023年の穀雨は、4月20日17時14分から5月6日3時19分までとなっています。
つまりゴールデンウィークのまっただ中が、まさに穀雨のシーズンということです。
穀雨とゴールデンウィークを結びつけられることができれば、イメージしやすくなってくるでしょう。
他の二十四節気や雑節がどうなっているのかをチェックしたいという方は、国立天文台の『令和 5年(2023)暦要項 二十四節気および雑節というページを是非チェックしてください。
穀雨における七十二候は?
二十四節気は約15日サイクルでまわっていきますが、この15日サイクルを3分割して5日サイクルにしたモノが七十二候です。
この七十二候は二十四節気を『初候』『次候』『末候』の3分割したものであり、より二十四節気における季節のイメージを掘り下げたいという人にとっては知っていただきたい情報です。
また、七十二候は古代中国の流れをそのまま汲んでいる『宣明暦』と江戸時代に日本向けに編纂された『略本暦』があります。
古代中国と日本の気候はかなりことなるので、日本の気候にマッチしている七十二候を知りたいという人は『略本暦』を追いかけましょう。
ここでは比較対象として『略本暦』以外に『宣明暦』も記載していきます。
穀雨における『初候』
穀雨における『初候』は以下の通りです。
略本暦(日本):葭始生(よしはじめてしょうず)⇒ 水辺の葭が芽吹き始める
宣明暦(中国):萍始生(うきくさはじめてしょうず)⇒ 浮き草が芽を出し始める
葭は葦を別の漢字で表したモノで、葦が芽吹き始めるというのが穀雨の『初候』となっています。
日本でも北海道、本州、四国、九州、沖縄とほぼ全土に見られるのが葦なのでかなり馴染みがあると思います。
穀雨における『次候』
穀雨における『次候』は以下の通りです。
略本暦(日本):霜止出苗(しもやんでなえいず)⇒ 霜が終わり稲の苗が生長する
宣明暦(中国):鳴鳩払其羽(めいきゅうそのはねをはらう)⇒ 鳴鳩が羽を払う
穀雨の次候は4月の下旬となるので霜が降りることはほとんど無くなり稲の苗が成長する時期となります。
霜は作物の天敵なのでこの見極めは重要でしょう。
穀雨における『末候』
穀雨における『末候』は以下の通りです。
略本暦(日本):牡丹華(ぼたんはなさく)⇒ 牡丹の花が咲く
宣明暦(中国):戴勝降于桑(たいしょうくわにくだる)⇒ 戴勝が桑の木に止まって蚕を生む
略本暦は非常にわかりやすいです。
牡丹の花が咲く頃という意味ですが、春牡丹はだいたい4月から5月に開花するのでこの時期にマッチしていると言えます。
穀雨の時期にある風習やイベントは?
2023年の穀雨は、4月20日17時14分から5月6日3時19分までであり、ゴールデンウィークが始まるタイミングでもあります。
このゴールデンウィークが始まる時期が穀雨という事が認識できれば、マイナーな二十四節気でも連想しやすくなるでしょう。
ゴールデンウィーク
2023年のゴールデンウィークは4月29日の土曜日から5月7日の日曜日となります。
有給をうまく使って、5月1日の月曜日と5月2日の火曜日も休むことができれば、最大で9連休となるようです。
有給を1日使うことができれば、1週間もお休みできるというのはなかなか少ないので、是非とも有給を活用してもらいたいゴールデンウィークとなります。
ちなみに、2024年以降は昭和の日や憲法記念日やみどりの日といった祝日が、土日と被るので、1日有休を使えば1週間お休みになるというのは稀になります。
博多どんたく
例年5月3日と4日が博多どんたくが行われる時期となります。
例年200万人以上も人が集まるこのイベントは、2022年は新型コロナウイルスの影響で集まることができなかったため、2023年には大きな期待を寄せる人も多いでしょう。
個人的にはこの新型コロナウイルスが一考に減る気配がないので、2021年も何らかの影響が出てしまうのではと心配しております。
5月2日の前夜祭も加えると3日も楽しめる大規模なお祭りですので、一度は見てみたいものです。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回は穀雨とはどのような節気なのかを紹介しました。
かなりマイナーな節気ですが、ゴールデンウィークのタイミングで発生する節気ということで覚えやすいのは確かです。
ゴールデンウィークには様々なイベントがありますので、話題にも事欠かない時期とも言えます。
博多どんたく以外にも浜松まつりといったイベントもありますし、海外だと五月祭やワルプルギスの夜といったイベントもありますので、世界的にも色々と楽しめる時期なのです。
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