日本人にとっても『夏至』というワードは非常に有名で、いつ頃なのかも頭の中に入っているという人もいるでしょう。
今回はこの夏至に注目して、その由来や言葉の意味を確認して参ります。
夏至は特別なタイミングでもあるので、それにまつわるイベントも非常に多く存在しているので、そちらにも注目しながらご紹介いたします。
夏至の意味は?
日本人にとっても馴染みにある夏至は『二十四節気』においては、夏を表す節気の一つとなります。
夏の二十四節気は立夏⇒小満⇒芒種⇒夏至⇒小暑⇒大暑というサイクルになっていますので、4番目の夏の節気であるということもここからわかってきます。
『夏至』とは『夏の至る所』という意味で、『夏の頂点』という意味があります。
この夏至の最大の特徴は『1年で最も昼が長い日』です。
二十四節気について詳しくないという人でも、夏至というワードが『1年で最も昼が長い日』であるという情報を知っているという人は非常に多いでしょう。
反対に『冬至』は『1年で昼が最も短い日』となっているので、セットで覚えている人も多いと思います。
ちなみに、二十四節気は基本的に一つの節気を約15日間のシーズンとして扱っているので、夏至も約15日間を表すこともありますが、日本人的には1年で最も昼が長い日の1日だけが夏至というイメージが強いと思います。
ちなみに詳しくは後述しますが、太陽黄径が90度から105度までのシーズンが夏至の節気となります。
太陽黄径とは?
『1年で昼が最も短い日』というのは、太陽黄径が90度になったタイミングになります。
ここで登場する『太陽黄径』というワードは、『太陽が1年かけて1周するように見える移動経路を『黄道』として、その『黄道』を春分が始まる地点を0度として360度に分けたもの』となるのです。
今では地球が太陽の周りを回っているというのは当たり前のように受け入れられていますが、二十四節気を考える場合は地球の周りを太陽が回っていると仮定して考える必要があるのです。
元々二十四節気ができたのは2,000年前の中国ですので、そのころは地動説の考え方が当たり前だったことも影響しているでしょう。
ちなみに、太陽の移動経路である『黄道』に地球の赤道をそのまま広げていった円と接した部分を春分点と秋分点とします。
そして太陽が南から北に移動した考えられる始点が春分点で0度、北から南に移動したと考えられる始点が秋分点で180度という考え方をしています。
先ほど登場した太陽黄径が、90度から105度までのシーズンが夏至の節気という表現は、春分になった日から太陽が90度ほど移動して、そこから105度に至るまでのシーズンという意味になるのです。
2023年の夏至はいつ?
2023年の夏至は6月21日です。
二十四節気的にそのシーズンでお答えした場合は、6月21日23時58分から7月7日17時31分までが夏至と言えるでしょう。
二十四節気の区切りや時期を詳しく知りたいという方は、『令和 4年(2022)暦要項 二十四節気および雑節』というページを是非チェックしてください。
参考資料
基本的に夏至は6月21日か22日に発生しますので、昼が最も長くなる日というワードと共に覚えておくといいでしょう。
夏の節気がイメージと合わない現象について
夏至は4番目の夏の節気であり、1番目の夏の節気である立夏はなんと5月初旬に始まります。
また、夏の節気は大暑で終わりですがこの大暑は8月7日までなのです。
つまり、二十四節気の考え方では8月の初旬に夏は終わっているということなのです。
日本人的には『8月こそが夏の本番なのにすでに終わっているとはどういうこと?』と思ってしまうでしょう。
このような状態になっている最大の理由は、二十四節気が誕生した中国の内陸部の気候と日本の気候がかなり異なっているからです。
二十四節気が誕生した中国の内陸部は3月当たりから急激に温度が上昇し、4月には平均気温が20℃を突破して、5月には平均気温が25℃を超えます。
そして6月と7月が平均気温30℃を超えて夏真っ盛りの状態になり、8月から気温が下がり始めるのです。
このような気温の動き方をしている中国では5月から8月が夏といわれても納得できると思います。
逆に、日本は8月まで気温が上昇して8月がピークとなるので、感覚的にずれが発生するのです。
夏至における七十二候は?
1年を24等分して約15日間のシーズンとして扱うのが夏至になりますが、この15日間のシーズンをさらに3等分して5日間として扱っているのが『七十二候』です。
こちらはより細かくその時期はどのようなシーズンなのかを表すものとなっています。
ただし、こちらの七十二候は江戸時代に日本の風土に合うように編纂した『略本暦』と、古代中国の二十四節気の考え方より派生したそのままの七十二候『宣明暦』があります。
ここではどちらの七十二候も紹介して参ります。
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夏至における『初候』
夏至における『初候』は以下の通りです。
略本暦(日本):乃東枯(なつかれくさかるる)⇒ 夏枯草の花が黒ずみ枯れたように見える
宣明暦(中国):鹿角解(しかのつのおつ)⇒ 鹿が角を落とす
夏枯草とはウツボグサの異名で、ウツボグサは漢方にも使われているので聞いたことがあるという人も多いでしょう。
夏至における『次候』
夏至における『次候』は以下の通りです。
略本暦(日本):菖蒲華(しょうぶはなさく)⇒ あやめの花が咲き始める
宣明暦(中国):蜩始鳴(せみはじめてなく)⇒ 蝉が鳴き始める
これはどちらもわかりやすいでしょう。
夏至における『末候』
夏至における『末候』は以下の通りです。
略本暦(日本):半夏生(はんげしょうず)⇒ 半夏が生え始める
宣明暦(中国):半夏生(はんげしょうず)⇒ 半夏が生え始める
夏至の末候は日本も中国も七十二候は一緒になります。
夏至の時期の食べ物や風習は?
夏至は知名度がかなり高い二十四節気ですが、この時期に有名なイベントや風習はあるのでしょうか。
タコを食べる、餅を食べる
関西地方の一部では、夏至になるとタコを食べるという風習があるようです。
昔の人は豊作祈願に繋がる事柄を色々と行っていたのですが、このタコを食べるというのも豊作祈願の一種で、『タコの足のように稲が根を張る』という意味があります。
関東地方では関西のタコの代わりに、小麦で作った餅を食べるという風習があります。
夏至のタイミングで何らかの食べ物を用意して食べるというのは日本全土に根付いている風習なので、一度確認してみると面白いでしょう。
夏至祭
北海道当別町や二見興玉神社では夏至になると祭りが行われます。
特に有名なのが二見興玉神社のお祭りで、こちらは夫婦岩の前で禊ぎを行い朝日を拝むというお祭りなのです。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回は夏至について色々と記載しました
夏至は非常に有名で、6月21日や22日にあるというのは知っている人も多いでしょう。
最も昼が長くなるというワードとセットで覚えている人も多いのです。
南半球では日本の冬至のタイミングが、最も昼が長くなるというワードもセットで覚えておくと、ちょっとした豆知識として使えると思います。
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