野球で日本シリーズ優勝などの目標を達成するとよく見られる光景が監督の胴上げです。
今回はこの胴上げに注目し、そもそもこの胴上げとはどのような立ち位置にある行為なのかを見ていきます。
胴上げの歴史は同案っているのか、プロ野球優勝監督胴上げはいったいいつから当たり前となったのか、メジャーでは優勝したときはどのようにしているのかを見ていきましょう。
胴上げは日本のオリジナル文化?
「○○シーズンぶりの△度目の優勝です!」といったアナウンサーのかけ声とともにマウンドで喜びを爆発させるのが優勝の瞬間です。
これはあらゆるスポーツでも一緒ですが、野球の場合は必ずと言っても行われる行事があります。
それが、監督やその年に大活躍した選手の胴上げです。
この胴上げなのですが日本ではとってもなじみ深いのですが、海外のスポーツ選手が優勝したシーンでも胴上げが実行されることは見たことがないです。
野球・ラグビー・陸上・バスケット・バトミントン・フィギュアスケートなどなど様々なスポーツで、外国の方々が優勝しても胴上げをしません。
ただし、例外としてスペインなどのサッカー強豪国で胴上げがされています(2010年の FIFAワールドカップでスペインが優勝したときの胴上げと、2018年のFIFAワールドカップでフランスが優勝したときの胴上げです)。
こういった事情から、日本オリジナルなのかと考えてしまうのですが、どうも海外の一部地域では胴上げに近い行動がお祭りなどで行われているようです。
ただし、起源については明確な資料が残されていないので詳しくは不明です。
とりあえずチェコやロシアやハンガリーなどの一部の国で、胴上げに似た行為はあると言われていますし、ヒンドゥー教の祭りの一環で胴上げに似た行為をするとい情報もあります。
日本オリジナルの文化と言えるかどうかは海外にも一応存在しているので、断言はできませんが、オリジナルに近い状況にあると考えた方がいいでしょう。
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胴上げの発祥や歴史について
この胴上げの歴史もいくつかあるので、残念ながら明確なことは不明です。
それでも今のところ通説となっている情報から個人的にも納得できる歴史を紹介します。
発祥について
発祥であると言われている地点やイベントがいくつかあるので、それらを見ていきましょう。
まず、ネット上で発祥とされることが多いのは、長野県にある善光寺説です。
善光寺では、五穀豊穣や天下太平を祈願して行われる『堂童子(どうどうじ)』という祭事があるのですが、これが胴上げの起源となったと言われているのです。
実際にこの祭事では、最後に仕切り役の体を空中に放り投げるまさに胴上げのような行動が行われるので、これが発祥と言われても納得でしょう。
こちらの行事は江戸時代初期から行われていたと言われているので、そこからも発祥は善光寺であると言われています。
それ以外にも新潟県糸魚川市では、1月17日に毎年行われる『裸胴上げ祭り』と呼ばれる行事が江戸時代初期から行われているので、これが起源になったという説もあります。
また新潟県南魚沼市で、毎年1月6日に『婿の胴上げ』と呼ばれる行事が古くからあったということから、これが起源という説もあります。
個人的には、新潟県南魚沼市で行われるこの行事が、戦国武将の長尾政景が関わってくる行事なのでこちらを押したい気持ちがあります。
理由として、長尾政景は上杉謙信の父親である長尾為景の娘が妻であり、上杉謙信の遠縁にあたる人物なのです。
他にも歴史ある相撲でも胴上げに近い行動が行われており、今でも『神送り』という行事として取り入れられています。
これは土俵に降りてくれた神様に礼を捧げながら、元の場所に送り出すための神事に近いものであり、もともとは親方を胴上げしていたという情報もあるのです。
ただし、親方の胴上げは事故に繋がってしまったために、なくなったという情報もあります。
このように祭事や行事で各所で行われていた胴上げが広まることで、民衆にも広まったと言われています。
胴上げの本来の意味と歴史
このように祭事に取り入れられてきたという歴史があります、なぜそのような行動をするようになったのかをさらに紐解いていくとある答えに行き着きます。
それは『空中にものを放り投げると、悪いものが取り払われるようになる』という考え方です。
というのも、農耕民族であった日本人は良い稲と悪い稲の選別について、遙か昔より心血を注いで熟慮しておりました。
そして、その結果たどり着いたシンプルなやり方が、選別対象のモミをザルなどに入れて上下に振りながら空中に巻き上げるというやり方です。
これをすると中身が入っていない実ほどふるい落とされやすくなるのです。
この稲の選別から、空中の高いところに持ち上げると、悪いものは取り除かれるという考え方が根付いたと言われています。
そこから善光寺などの祭事に繋がると考えられているのです。
悪いものをふるい落とすならうれしいときにやるのはおかしい?
ここでポイントとなるのが、『空中にものを放り投げると悪いものが取り払われるようになる』という考え方です。
お寺の行事で行うのならこの考え方通りでも違和感はありません。
土地の繁栄を祈って行う胴上げも、悪いものを取り払うという意識があると言えるのではないでしょうか。
問題となるのが優勝した瞬間や合格した瞬間などに行われる胴上げです。
一体このときどんな悪いものが取り払われるのでしょう。
一説にはあまりにもうれしいことがありすぎると、悪霊に取り憑かれてしまう可能性があるので、悪霊を取っ払うために行っているとされていますが、おそらくですがどこかで考え方が変質したのだと思われます。
プロ野球優勝監督胴上げいつから?
プロ野球優勝監督が胴上げされたのは、1950年セントラル・リーグ初代優勝チームとなった松竹ロビンスの監督小西得郎氏です。
ここから広まって優勝すると、監督を胴上げするというスタイルになったのです。
ちなみに、優勝監督以外にも2009年のパリーグクライマックスシリーズのように、勇退が決まっている野村監督が日本ハムの選手や楽天の選手と一緒に胴上げされたという例もあります。
メジャーではどうなっている?
メジャーでは胴上げはありません。
祝福は基本的にハグや握手やボディコンタクトとなります。
色々と筆者も優勝する瞬間を見てきましたが、確かに胴上げは一回もありませんでした。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回は胴上げの歴史について調べて見ました。
元々が稲の選別の行為が胴上げに似た行動だったのですが、いつしか祭りなどの祭事で行われるようになり、さらに進化して何らかのお祝いする瞬間に行われるようになりました。
とくに悪い部分を祓うというのは、優勝した人や合格した人にはあまり当てはまらないと思います。
なので現在では、あくまでも喜ばしい行動の一環として捉えられていると認識した方がいいでしょう。
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