プロ野球は毎年ルールが少しずつ変わっていますが、昨今のルール変更の中でも大きく変わったのが審判へのリクエスト制度です。
今回はこの審判へのリクエストに注目しつつ、何となく多く感じてしまうが判定がひっくり返った確率はいったいどうなっているのかをご紹介いたします。
判定がひっくり返る確率が高すぎるのも問題ですし、低すぎるのも問題だと思いますが、はたして実態はどうなっているのでしょうか。
リクエスト件数やリクエスト成功確率は?
それでは具体的に数字を出していきましょう。
リクエストに関しては色々とまとめているサイトがありますので、こちらのサイトからデータを引用させていただきます。
2018年のデータは『【2018】プロ野球リクエスト制度の成功率・誤審率・回数ランキングを大公開!』さんからの引用です。
2020年のデータは『2020リクエスト成功率ランキング | | BBNews』を参考にさせていただきます(リクエスト制度が本格的に日本で導入されたのが2018年シーズンからなので一番古いのが2018年になる)。
こちらのデータを見てみると、2018年はリーグ全体でのリクエスト試行回数が505回で、リクエストの成功率は33.7%となっています。
2020年のデータでは32.6%となっており、だいたい30%~35%程度の数字で安定する可能性が高いです。
まだまだ導入されたばかりなので統計データとしては不足していますが、リクエストをした場合の成功率はだいたい3割と覚えておけばいいと思います。
3割って多いの?少ないの?
筆者個人的に3割はかなり多いと思っています。
というのもリクエストの中には、『判定が正しい可能性が高いけど、ひっくり返ったらありがたいから、確率は低くてもするリクエストするケース』と『絶対に判定が間違っているとわかっているから、リクエストするケース』の2種類があるからです。
この中で圧倒的に多いのが、『判定が正しい可能性が高いけど、ひっくり返ったらありがたいから、確率は低くてもするリクエスト』であり、このタイプのリクエストは高確率で失敗します。
『【2018】プロ野球リクエスト制度の成功率・誤審率・回数ランキングを大公開!』さんのデータを見てみると、8回と9回といった積極的に動かないといけない場面での成功率は3割を切っています。
逆に『絶対に判定が間違っているとわかっているからするリクエスト』が含まれることが多い他の回では、成功率が4割を超えていることがあるのです。
このように考えると3割越えという数字はやっぱり多いと感じてしまいます。
チーム別の成功率はどうなっているの?
このリクエスト制度におけるチャレンジの成功率も、チームによってそれなりに偏っているようです。
2018年のデータだと成功率が最も高いのが阪神の44%で、成功率が最も低いのが日本ハムの25%でした。
2020年のデータだと成功率が最も高いのが楽天の44%で、成功率が最も低いのが中日の20%でした(オリックスの西村監督も20%だったが、途中解任されたので例外とする)。
このようにチームでの成功率を比較してみると、20%以上の開きがあるのでかなりの差があると言えます。
ただし2018年は成功率が44%もあった阪神が、2020年になると23.8%とかなり下がっているので、チームによって成功率が高いとか低いとは言えないでしょう。
それでも成功率が2割程度のチームの場合は、どうせチャレンジしても成功しないという目で見られてしまうので、成功率を上げるための努力はしてもらいたいと思ってしまいます。
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判定リクエスト導入はメジャーが先?
基本的に野球のルールはメジャーで更新された後に、日本風にいくらか手直しして導入されるという形が何度もとられています。
2014年にメジャーリーグで採用されたコリジョンルールも、1972年にメジャーリーグで導入されたDH制もほとんどのルールが、後に日本でも導入されました。
ただし、このリクエスト制度に関してはスムーズな導入には至らなかったのです。
まず、メジャーにおけるリクエスト制度の第一弾は、『ホームランかどうかのチェックにのみ用いる』というルールで、2008年8月27日にビデオ判定として導入されることが発表されます。
しかし2010年6月2日に審判の誤審によって、アーマンド・ガララーガ投手の完全試合が阻まれるという事態が勃発してしまい、MLBのファンからビデオ判定を通常のプレイにおいても採用して欲しいという動きが活発化したのです。
その結果、2014年にビデオ判定が拡大され、チャレンジ方式が採用されました。
要するに、メジャーで今のような形でのリクエスト制度が誕生したのは2014年ということです。
日本では遅れる形でホームランのビデオ判定が導入されたのが2010年、今のような形でのリクエスト制度が誕生したのは2018年となっています。
なぜ日本ではリクエスト制度の導入が遅れた?
基本的に導入が簡単なルール変更の場合、メジャーリーグで導入された翌年か翌々年には導入される傾向にありますが、リクエスト制度に関してはかなり時間がかかっています。
最大の理由は、日本の審判団の拒否とあらゆる球団でのリクエスト制度に役立つカメラ導入に手間取ってしまったことにあるとされているのです。
頑なに審判が拒否していた背景には、『リプレーに頼ってしまうと審判員の技術向上に繋がらないから』といった理由があったのですが、2018年に審判団が折れたことで今のような形になったのです。
メジャーの場合はチャレンジ用のスタジオをニューヨークに建設して、あらゆる球場にリクエスト制度に役立つカメラを7~12台ほど設置して、一括管理するというリクエスト制度のための本格的な動きがあったために導入もスムーズだったのです。
しかし、日本ではこういった動きが一切できなかったために時間がかかってしまったと言われています。
ミスジャッジが多い審判にペナルティは課せられないの?
これはなんとも言えないのですが、どうやらコミッショナー判断であまりにもひどい過ぎる誤審の場合は制裁金が科せられるようです。
ひどすぎる具体例としては選手交代を間違えたとか、立て続けに明らかな誤審をしてしまったとか、ボールカウントを間違ったといった内容です。
このようなあきらかな誤審をすると、審判員出場手当の没収とか2軍降格などのペナルティがあります。
明確にどのような処分が下されるのかははっきりしていませんが、一応はひどすぎる誤審があると何らかの処分があると覚えておきましょう。
リクエストに1試合何回までできる?
リクエストは行使できる回数は1試合につき最高2回です。
ただし、延長になると1回分追加されます。
またリクエストをした結果判定が覆った場合は、チャレンジ回数が減りません。
ちなみに、このリクエストは審判側も試合を長い時間止めてはいけないために、5分以内にリプレー検証を終わらせなければいけないというルールがあるのです。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回はプロ野球における審判のミスジャッジを減らすためのリクエスト制度についてまとめました。
アメリカではリクエスト制度の導入のために、しっかりとしたリプレイ検証用のカメラの設置や、リプレイ検証をしやすくするための設備を用意していたことがわかったと思います。
日本ではこういった設備がないので、スタジアムによってリクエストがしやすいところとしにくいところがあるのが問題です。
日本でも今後はカメラ設置台数を増やすなどして、正しい判定の向上に繋げてほしいです。
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