プロ野球の2022年シーズンは近年まれに見る投高打低のペースで進んでおり、このままシーズンが終わったら、最終的にはホームランの数も250本も少なくなると言われています。
そこで今回はこのように何故2022年シーズンは、なぜ投高打低の状態になってしまっているのかをいろんな角度から検証してまとめていきたいと思います。
様々な有識者の意見を集めているので、自分はどのように感じているのかも考えながら見てもらいたいです。
2022年シーズンはホームランも激減しそう
簡単な投高打低を表す指数が総ホームラン数です。
これらの情報においてわかりやすいのがこちらの『統一球は昨年より飛ばない?西武山川「飛ばない。間違いない」…NPB明言「規定内」(日刊スポーツ) – Yahoo!ニュース』で、この記事によると『12球団合計では1192・6本ペースとなり、昨年の1449本から250本以上の減少』すると記載してあります。
より細かく見てみると、セリーグはこのままのペースだと年間で100本以上ホームランが減るという計算になり、パリーグだとこのままのペースで年間150本近く減るという試算になっているようです。
累計の合計ホームラン数や打撃成績の推移について
それではより具体的に累計のホームラン数がどういった推移になっているのかを見ていきましょう。
これらの数値に関して参考にしたデータはこちらの『チーム別打撃成績 – プロ野球データFreak』を参照しています。
参考資料
○セリーグの年度別打者成績まとめ
※2020年は新型コロナウイルス感染症によって試合数が120試合と少ないので注意
○パリーグの年度別打者成績まとめ
※2020年は新型コロナウイルス感染症によって試合数が120試合と少ないので注意
このようになっています。
また2022年の成績は6月23日のデータで平均OPSがセリーグは0.666、パリーグが0.647となっています。
ホームランの数も先ほど記載したように、セリーグはこのままのペースだと年間で100本以上ホームランが減るという計算になります。
また、パリーグだとこのままのペースで年間150本近く減るという試算になっているので、OPSも含めると打撃成績は軒並み減ることが予想できます。
ちなみに、2010年シーズンから2011年シーズンにかけてものすごく打者成績が低下していますが、これは統一球問題に直撃したシーズンであり、多くのバッターが貧打に苦しみました。
なぜ投高打低になっている?
先ほどのデータを見てみると、2018年シーズンから少しずつ打者の成績が低下して、それが2022年シーズンになりより顕著になっているといえるでしょう。
何故このような状態になってしまっているのかを様々な記事や意見から推察を交えてまとめていきます。
シーズン前半は投手が元気だから
これはちょっと納得できる理由なのですが、1シーズンを通して蓄積疲労でひどくなりやすいというのは打者よりも投手であるため、シーズン前半は投手が有利になるという意見です。
夏場になると球速や球質が少しずつ低下していくので、そのタイミングで打者の成績は上がって例年通りになると言われております。
これはある程度当てはまる選手もいると思いますが、筆者的にはそこまで投手成績が落ちるとは思えないので、そこまで当てはまるものではないと考えています。
反発係数が低いボールを使っているから
あまりにもホームランの数が減ってしまったことで低反発の球を使っているのではないかといった疑惑の声が上がりました。
こちらの『【西武】山川穂高「飛ばない方がありがたい」今季のボール「飛ばない」断言も本塁打への自信不変(日刊スポーツ) – Yahoo!ニュース』の記事で、おもいっきり現役選手の山川選手が飛ばないと発言しているのです。
NPB側はそんな変更はしていないとはこちらの記事『例年通りの規定値内なのに「飛ばない」今季の統一球、年間本塁打ペースは250本以上減少 – プロ野球 : 日刊スポーツ』にあるように否定しているのですが、可能性はゼロでは無いと思います。
参考資料
投手の成長が著しいから
今シーズン全体的に投手成績がずば抜けているのですが、これは投手の成長によるものであるという指摘もあります。
実際に直球の平均球速が5年前と比べるとなんと3キロもアップしているとのことで、それだけでも投手の進化スピードの速さがわかってきます。
実際にメジャーリーグを中心として、個々のレベルアップのための様々なデータやマシンや器具が導入されております。
それを駆使してひたすら技術を磨き上げて体を鍛え上げた結果、多彩な変化球や鋭い変化球を投げてすさまじい速さの直球を投げる投手が増えてきているのでしょう。
2000年代中頃からメジャーリーグでは、高性能なカメラが導入されるようになり、そこからボールの回転数や回転軸といった情報が見られるようになって、どうすれば投手としての質が上げられるのかがデータから導き出されるようになったのです。
こういったデータ野球によって投手としての最適化が一気に進み、すさまじい速度で投手進化が進むことになりました。
投手の進化スピードの速さに打者がついていけないから
これは打者が情けないというお話ではなく、野球というシステムそのものの問題も絡んでいます。
というのも、投手は自分主体で様々なトレーニングをすることで自己完結ができるのですが、打者は相手ありきでトレーニングをする必要があり、進化した投手が誕生したのなら進化した投手に対応するトレーニングをすることでどうにかしないといけないのです。
このどうしても受け身にならざるを得ない状況から、投手の進化が早すぎると置いてけぼりになってしまい投高打低の状態になってしまいます。
ここら辺で投手の進化が鈍化すれば数年後に追いつく可能性もあると思いますが、そのまま突っ走られてしまうと何時までも背中を追いかけ続ける状態になり、追いつくことができなくなってしまうかもしれません。
こういった投手の進化と打者がもがいている様子を直に見ている現役プロ野球選手のソフトバンク千賀滉大投手は、『3割打者が存在しない時代が来る』と断言していました。
つまり、それだけ投手の進化スピードがすさまじく、打者が苦しい状況が続くことがプロの業界でも考えられているのでしょう。
この状態を苦慮したメジャーリーグでは、独立リーグで投本間の距離を延ばすといった取り組みが始まっているのです。
日本もフライボール革命が直撃する?
投手の圧倒的な進化スピードの速さに打者がついてこれない状態になる事で発生するのは、ロースコアの試合です。
こうなるとなかなか点が取れなくなるので、ひたすら三振してもバットに当たればホームランになるフライボール革命をより全面的に取り入れるという動きに繋がる可能性もあります。
これを導入すると日本でも得点やホームランは増えると思いますが、その結果投手と打者での駆け引きは薄くなり、ひたすらホームランを狙ってタイミングを合わせてバットを振り続ける競技になりかねません。
個人的にも完全にフライボール革命を取り入れるのは反対です。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回はプロ野球2022年シーズンは投高打低になっている理由についてまとめました。
投手の進化はアメリカでもものすごく早いことがどうやら話題になっており、その並が日本球界でも直撃している可能性があります。
効果が強く出ているのなら、来シーズンも同じように投高打低の状態が続く事も予想されているので、打者の方々はよりいっそうの奮起を願います。
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