春分や夏至、立秋、秋分など、古くから伝わる二十四節気によって季節を感じることは、今なお続いている日本の伝統と言えますよね。
しかし、二十四節気の中にはあまり聞き慣れない言葉も多いもの。
例えば、『大暑』(たいしょ)もその中の一つではないでしょうか。
漢字から何となく意味はわかりそうですが、大暑とはどのような由来からきているのでしょうか。
そこで今回は大暑について調べてみました。
大暑の季節感や、旬な食べ物などをご紹介したいと思います。
【大暑】2024年いつ?
2024年の大暑は7月22日16時44分となっています。
例年、大暑の時期が暑さのピークと言われ、熱中症などの体調不良に最も注意しなければいけません。
なお、節気はその日一日のみを指す場合もあれば、次の節気までの期間を指すこともあります。
大暑であれば、2024年は7月22日のみを指すだけではなく、次の節気である立秋が始まる8月7日の前日、つまりは8月6日までの16日間を大暑とすることもあります。
期間が重要となるのは、時候の挨拶を入れた手紙やはがきを送る時です。
大暑の時期には、『大暑の候』という時候の挨拶を使うことができますが、これは大暑の前の小暑や、大暑の次の立秋では使うことができません。
2024年なら7月22日から8月6日に届く分にして使用できないのです。
そのため、手紙やはがきがその前後に届く場合には、小暑の候や立秋の候を使う必要があるため、大暑の期間について必ず確認するようにしましょう。
参考資料
大暑の由来や意味とは?
大暑は二十四節気の一つで、夏の最後(6番目)の節気となります。
二十四節気とは、一年を24等分してそれぞれに季節感を表す言葉をつけたものなのですが、少し難しい言い方をすると太陽の天球上の運行を15度ごとに区切り24等分したものになります。
一年で最も昼が長い日である夏至は90度、逆に一年で最も夜が長い日である冬至は270度のように、太陽が通る区分点を決めたのが二十四節気です。
なぜ二十四節気が作られたのかと言うと、昔は太陰暦(旧暦)を採用していたため、月の満ち欠けによって一年を決めていたのですが、それだと季節感にズレが生じてしまうため、農作業を行う目安が決めにくいデメリットがありました。
そのズレを二十四節気によって修正していたと言われています。
大暑は二十四節気の中では12番目の節気で、一年の折り返し地点になります。
大暑は、大きく暑いと書くことから、暑さのピークがやってくる時期という意味になります。
節気の意味を記した暦便覧によると、大暑は『暑気いたりつまりたる時節なればなり』と説明されています。
これは、暑さが極まる時期という意味になり、つまりは最も暑い日が訪れるということになります。
大暑の頃の季節感とは?
大暑が暑さのピークであるということはわかりましたが、より具体的に季節感を知りたい時は七十二候を調べてみるのがよいでしょう。
七十二候は、二十四節気をさらに5日ごとに3つに区切ったものです。
昔の日本は農業が主体であったため、正確に季節感を知る必要があったのですが、そのような時に動物や植物の移ろいを記した七十二候によって、種まきや収穫などの目安としていたそうです。
大暑の七十二候は次のようになっています。
●初候(7月23日頃)『桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)』
桐の花が実を結び始める時期を表しています。
桐と言えば箪笥を思い浮かべますが、元々は上記の画像のような綺麗な桃色の花をつける樹木です。
●次候(7月28日頃)『土潤蒸暑(つちうるおうてむしあつし) 』
土に湿気が溜まり、じめっとして蒸し暑くなる時期を表しています。
●末候(8月2日頃)『大雨時行(たいうときどきふる)』
さっきまで太陽の光が照り付けて暑かったと思ったら、いきなり大雨が降りだす不安定な天気になりやすいのがこの時期です。
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大暑の時期の旬な食べ物は?
大暑の時期に旬を迎える食べ物の一つに、トウモロコシがあります。
トウモロコシは6月から出荷が始まりますが、日本で最も生産量の多い北海道では7月から少しずつ出荷が始まって大暑の頃にピークを迎えます。
また、トマトやきゅうり、スイカ、枝豆などの夏野菜も比較的早い段階からスーパーに並びますが、暑さが本番となる時期に食べるのはまた格別ですよね。
夏野菜には水分が多いため、汗をかいて脱水になりやすい夏は、昔は水の代わりとして食べられていたと言われています。
現代においても、水分補給に水ばかりを飲んでいると電解質異常が起こってしまうため、ビタミンやミネラルが多く含まれている夏野菜を食べて水分補給をするのがよいでしょう。
この他に、ちょっと変わった旬となるのが“天ぷら”です。
毎年、大暑は『天ぷらの日』として天ぷらを食べましょうと、スーパーの総菜コーナーには多くの天ぷらが並びます。
これには『暑い夏を天ぷらを食べて乗り切ろう』という意味があるらしいのですが、誰が言いだしたのかは不明です。
大暑の頃にあるイベントや風習は?
暑い時期に食べたい食べ物と言えば鰻(うなぎ)ではないでしょうか。
『土用の丑の日』に鰻を食べて夏バテを乗り切るのは、日本の古くからの風習と言ってもよいかも知れません。
しかし、実は鰻の旬は夏ではありません。
天然物の旬は秋から冬にかけてで、この時期の鰻が最も脂乗りがよく美味しいと言われています。
ではなぜ、夏に鰻を食べる習慣が生まれたのでしょうか。
それは江戸時代にまで遡ります。
当時、夏になると鰻が売れないことに困った店主が、平賀源内(本草学者、医者、蘭学者など様々な肩書を持っていた人物)に相談をしたところ、『それなら“本日、土用の丑の日”と書いた紙を貼ればよい』とアドバイスされたことが始まりと言われています。
土用の丑の日は、簡単に言うと季節の変わり目の期間のことで、今でこそ夏のイメージがありますが年に数回あるため、その時に精のつくものを食べて体調を整えようという習慣が元からありました。
鰻は夏が旬の食べ物ではありませんが、ビタミンAやビタミンB群が多く、スタミナ食材として知られていたので、店内の紙を見た客がこぞって鰻を注文するようになり、それが全国に広がっていったと言われています。
大暑の頃の季節の花は何?
朝顔は夏の季語にもなっている花です。
小暑の頃から咲き始めますが、大暑の時期も旬となります。
ちょうど大暑の時期は学校の一学期が終わるため、春から水やりなどをして育てた朝顔を持ち帰る子どもの様子を見かけることもありますよね。
この他に大和撫子でお馴染みの撫子(なでしこ)や、香料などに利用されるラベンダーも夏の花です。
ラベンダーは高温多湿を苦手とし、冷涼な土地を好むことから、日本全国で栽培されているものの、最も適しているのは北海道と言われています。
中でも富良野は一大産地として有名ですよね。
ラベンダーの開花時期は5~7月となっていますが、富良野では7~8月の大暑の時期は最盛期となり見ごろを迎えます。
まとめ
大暑は、二十四節気の一つで、夏の暑さがピークを迎えると言う意味を持つ言葉となっています。
2023年の大暑は7月23日となっていますが、節気は期間で表すこともあるのでその場合は8月7日までの16日間を指しています。
とは言え、今の日本では大暑を過ぎても暑さのピークが続くので、大暑が終わっても暑さに十分注意しながら生活をする必要があるでしょう。
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